STEP-BY-STEP GUIDE

ノートPCがバッテリー駆動のときだけ遅い:電源モード・エナジーセーバー・メーカー側の冷却モードを順に確認する

この記事の結論

バッテリー駆動時だけ遅い場合、最初に見るのはドライバーでもアプリでもなく、電源状態ごとに分かれた設定です。Microsoftは電源モードについて、[設定]>[システム]>[電源とバッテリー]の[電源モード]で[電源接続時]と[バッテリー駆動時]のそれぞれに選択肢を選ぶと案内しており、OEM向けの文書でもAC用とDC用の既定モードは別々に構成でき、ユーザーがどちらかで別のモードを選ぶとその状態の新しい既定になると説明されています。エナジーセーバーがオンの間は「ユーザーはWindowsの設定で電源モードを変更できない」「画面輝度が30%下がる」とMicrosoftが明記し、「バックグラウンドで動作するアプリがブロックされる」はバッテリー駆動かつ残量が少ない場合の追加動作として挙げられています。これだけで体感速度は変わります。Windows側を揃えても差が残るときは、GPUや冷却の制御がOEM側にあるため、LenovoのIntelligent Coolingのようなメーカー公開資料で自分の型番の挙動を確認します。

一般的な切り分けガイドです。特定の不具合が現在発生しているという告知ではありません。

対象製品・影響範囲

製品
Windows 11 power mode / energy saver, laptop maker power profiles (Lenovo Intelligent Cooling)
対象バージョン・条件
Windows 11(エナジーセーバーは24H2以降、バッテリー節約機能は24H1以前とWindows 10)。メーカー側の設定例としてLenovo ThinkPadのIntelligent Coolingの公開マニュアルを参照

発生する症状

  • 電源アダプターを抜いた途端に、同じ作業でも動作が遅くなる、フレームレートが落ちる、書き出しに時間がかかる
  • アダプターを挿し直すと元の速さに戻り、再起動やアプリの再インストールでは変わらない
  • 画面が暗くなる、バックグラウンドのアプリが同期しない、電源モードを変更しようとしても変更できない

原因・発生条件

バッテリー駆動時だけ遅くなるのは、多くの場合は故障ではなく、WindowsとPCメーカーの双方が「AC電源のとき」と「バッテリーのとき」に別々の設定を適用しているためです。Windowsの電源モードは[電源接続時]と[バッテリー駆動時]で別々に選べるようになっており、さらにエナジーセーバー(24H2以降)やバッテリー節約機能(24H1以前)がオンになると、画面輝度が下がり、電源モードの変更そのものができなくなります。バックグラウンドアプリのブロックは、バッテリー節約機能ではオンの間ずっと、エナジーセーバーでは「バッテリー駆動かつ残量が少ない場合」の追加動作としてMicrosoftが挙げています。CPU以外のGPUや冷却の制御はPCメーカー側の設定に委ねられており、Lenovoのように「Windowsの電源モード=本体の冷却モード」と明記しているメーカーもあります。

作業前の準備

  • 遅いと感じる具体的な作業を1つ決める(同じ動画の書き出し、同じゲームの同じ場面、同じファイルのコピーなど)。主観ではなく同じ作業で比較できるようにする
  • 現在の設定を変更前に控える:電源モード(電源接続時/バッテリー駆動時の両方)、エナジーセーバーまたはバッテリー節約機能のオン/オフとしきい値、画面輝度
  • PCの型番と、メーカー製の電源・冷却ユーティリティが入っているかを確認し、メーカーのサポートサイトで自分の型番のユーザーガイドを開いておく

この操作の注意点

  • この記事は実機での再現検証に基づくものではありません。引用した挙動はMicrosoftとLenovoが公開している文書の記載で、画面名・メニュー名・対応状況はWindowsのバージョンと機種によって異なります。自分の型番の資料で必ず確認してください。
  • バッテリー駆動時の性能が下がること自体は、多くの場合は仕様です。Lenovoは[最適なパフォーマンス]について「より高い温度とファン速度を許容する」と説明しており、省電力設定を切ることはバッテリー持続時間・発熱・騒音と引き換えになります。外出先で使う予定があるなら、切り替えたままにしないでください。
  • 引用したOEM向けのスライダー文書は2019年10月18日付です。対応プロセッサー世代など、時点に依存する記述を現在の仕様として読み替えないでください。また、電源設定をレジストリの未公開の値で書き換えるような手順は使わないでください。

使用するツール・公式ページ

Windows 11 power mode / energy saver, laptop maker power profiles (Lenovo Intelligent Cooling)の確認手順:同じ作業でAC接続時とバッテリー駆動時を比べ、条件を確定させる → 電源モードが[バッテリー駆動時]だけ省電力側になっていないか確認する → エナジーセーバー(24H2以降)またはバッテリー節約機能がオンになっていないか確認する → Windows側を揃えても差が残るなら、メーカーの電源・冷却モードを確認する → 残りの要因を切り分け、変更点と結果を記録する
FaultNote作成の手順図です。設定を変更する前に、注意点と各手順の説明を確認してください。 詳しい操作手順へ

具体的な操作手順

  1. 01

    同じ作業でAC接続時とバッテリー駆動時を比べ、条件を確定させる

    #

    最初にやるのは設定変更ではなく、比較です。準備で決めた1つの作業を、アダプターを挿した状態とバッテリーだけの状態で1回ずつ実行し、所要時間や体感の差、そのときのバッテリー残量を書き留めます。アダプターを抜いた瞬間ではなく数十秒後に遅くなる、残量が一定以下になってから遅くなる、という違いも原因の切り分けに直結します。

    残量に依存する場合は、次の手順で扱うエナジーセーバー(またはバッテリー節約機能)が候補になります。Microsoftはバッテリー節約機能について「既定ではバッテリー残量が20%を下回ると自動的にオンになる」と説明しており、エナジーセーバーについても、バッテリーが指定した残量に達したときに自動で実行されるよう設定できると案内しています。残量に関係なく抜いた瞬間から遅い場合は、電源モードまたはメーカー側のモードが候補です。

    この段階でドライバーの再インストールやクリーンインストールには進まないでください。AC接続時に問題が出ないのであれば、ソフトウェアの破損ではなく、電源状態によって適用される設定が違う、という説明のほうが先に当てはまります。

  2. 02

    電源モードが[バッテリー駆動時]だけ省電力側になっていないか確認する

    #

    Microsoftのサポートページは電源モードの変更手順として、[スタート]>[設定]>[システム]>[電源とバッテリー]を開き、[電源モード]の下で[電源接続時]または[バッテリー駆動時]のそれぞれに、[トップクラスの電力効率](バッテリー持続時間を節約)、[バランス](パフォーマンスとバッテリーのバランス)、[最適なパフォーマンス](パフォーマンスを最大化)のいずれかを選ぶ、と案内しています。つまりこの設定は電源状態ごとに別々で、バッテリー側だけ省電力に寄っていても画面上は矛盾に見えません。

    同じページには「電源モードを変更できない場合は、カスタム電源プランが選択されている可能性があります。[コントロール パネル]>[システムとセキュリティ]>[電源オプション]を開き、[バランス]を選択してください」という注記もあります。メーカー製ユーティリティが独自のプランを作成している機種では、ここで詰まることがあります。

    OEM向けの文書(2019年10月18日付)も同じ構造を裏づけています。AC用とDC用の既定のモードは別々に構成でき、「ユーザーがACまたはDCのどちらかで別のスライダーモードを選択すると、その選択が新しい既定の設定になる」と書かれています。過去に一度バッテリー駆動中に省電力側へ寄せたことがあれば、その選択がバッテリー側だけの既定として残っている、という筋書きです。

  3. 03

    エナジーセーバー(24H2以降)またはバッテリー節約機能がオンになっていないか確認する

    #

    Microsoftは、エナジーセーバーはバッテリー節約機能を置き換えるもので、Windows 11 24H2以降に存在すると説明しています。そしてオンの間の挙動を明記しています。「ユーザーはWindowsの設定で電源モードを変更できない」「画面輝度が30%低下する(この設定は有効・無効を切り替え可能)」「ウィンドウ背景の透明効果が無効になる」。さらに、バッテリー駆動かつ残量が少ない場合の挙動として、OneNote・OneDrive・Phone Linkなど一部のMicrosoftアプリが同期しないことがある、バックグラウンドで動作するアプリがブロックされる(個別のアプリを許可することは可能で、VoIPアプリなど一部のカテゴリは引き続き動作する)、重要でないWindows Updateのダウンロードがブロックされる、と説明しています。

    前の手順で電源モードを変更できなかった場合、その原因がカスタム電源プランではなくエナジーセーバーであることがあります。Microsoftのサポートページは、[設定]>[システム]>[電源とバッテリー]で[エナジーセーバー]を展開し、[バッテリー残量が次の値になったらエナジーセーバーを有効にする]でしきい値を選べること、[常にエナジーセーバーを使う]をオンにすると次に電源に接続するまでオンのままになることを案内しています。この「常にオン」を過去に設定していると、残量に関係なくバッテリー駆動中はずっと省電力側になります。

    24H1以前とWindows 10ではバッテリー節約機能が同じ役割を持ち、既定では残量20%未満で自動的にオンになります。オンの間はバックグラウンドアプリのブロック、重要でないWindows Updateのダウンロードのブロック、画面輝度30%低下に加えて、タスクスケジューラのタスクも条件を満たすものだけが動き、それ以外はバッテリー節約機能が解除されるまで遅延されます。

  4. 04

    Windows側を揃えても差が残るなら、メーカーの電源・冷却モードを確認する

    #

    Windowsの電源モードを両方とも同じにし、エナジーセーバーをオフにしても差が残るなら、次はメーカー側です。Microsoftのスライダー文書は、スライダーで調整できるのはCPUの電力管理(PPM)と電力調整(power throttling)のような、体感パフォーマンスに影響する設定だけであり、「パフォーマンスを制御するその他の要素(GPU、熱設計など)はOEM/SVの管理下にあり、OEMはそれらに独自の電源設定を作成してINF経由でスライダーに接続できる」と明記しています。つまりGPUと冷却の振る舞いは、Windowsの画面だけを見ても分かりません。

    Lenovoは、その接続を利用者向けに明文化している例です。ThinkPad X1 Carbon Gen 11のユーザーガイドは、Intelligent Cooling機能が「電力消費、ファン速度、コンピューターの温度、パフォーマンスを調整する」ものであり、Windows 11搭載モデルではWindowsの設定から調整すると説明し、[トップクラスの電力効率]=電力消費・ファン速度・パフォーマンスを下げて静かでバッテリー持続時間が最良になる、[バランス]=それらのバランス、[最適なパフォーマンス]=最大のパフォーマンスを優先し、より高い温度とファン速度を許容する、と対応づけています。同ガイドはAC電源時とバッテリー電源時を別の表示に分けており、ここでも電源状態ごとの設定という構造は同じです。

    機種によってはUEFI側にも項目があります。ThinkPad T14 Gen 4 / P14s Gen 4(AMDモデル)のユーザーガイドは、Intelligent Cooling Boostが「実行中のアプリに基づいてシステムのパフォーマンスを動的に調整する」機能で、UEFI BIOSメニューの[Config]>[Power]にあるスイッチでオン・オフすると説明しています。自分のPCがLenovoでない場合も、探すべきものは同じです。電源状態ごとのモード、ファン・温度のモード、そしてそれらがWindowsの電源モードと連動しているかどうかを、メーカーの公開マニュアルで確認してください。

  5. 05

    残りの要因を切り分け、変更点と結果を記録する

    #

    バックグラウンドのアプリだけが遅い場合は電力調整(power throttling)が関係します。Microsoftの文書は、電力調整はバックグラウンドで動作するアプリのCPU周波数を抑えることで最大11%のCPU電力を節約する機能で、アプリやサービスを終了・中断させるものではないこと、スライダーが[最適なパフォーマンス]のときを除いて常に有効であること、[バッテリー使用状況]のUIからアプリ単位で対象外にできることを説明しています。ただしこの文書は2019年10月18日付で、対応プロセッサーについての記述もその時点のものです。年代を伏せて現行の仕様として扱わないでください。

    ここまでで説明がつかない場合は、計測に進みます。powercfgのコマンドライン文書には、システムを解析して一般的な電力効率とバッテリー寿命の問題を調べる用途が示されており、管理者コマンドプロンプトからレポートを出力できます。バッテリー自体の劣化が疑わしいときは、設計容量と満充電容量を比較するバッテリーレポートが判断材料になります(当サイトの「ノートPCのバッテリー劣化」の記事で読み方を扱っています)。

    最後に、変更した設定と結果を必ず記録してください。電源接続時/バッテリー駆動時それぞれの電源モード、エナジーセーバーのしきい値と「常に使う」の状態、メーカー側モードの設定値、そして同じ作業の所要時間。これを残しておけば、効果がなかった変更を元に戻せますし、メーカーに問い合わせる際にもそのまま使えます。

    入力するコマンド・パス
    powercfg /energy

公式の適用条件・最新情報も確認する ↗

改善したか確認する

  • [設定]>[システム]>[電源とバッテリー]で、[電源接続時]と[バッテリー駆動時]の電源モードが意図した値になっており、再起動後も同じ値のままである
  • エナジーセーバー(またはバッテリー節約機能)がオフの状態で、準備で決めた同じ作業をバッテリー駆動で実行し、AC接続時との差が納得できる範囲に収まっている
  • 変更前後の設定値と所要時間を記録として残せており、効果がなかった変更は元の値へ戻してある

改善しない場合・設定を戻す場合

  • Windowsの電源モードとエナジーセーバーを揃えても差が大きい場合は、型番、Windowsのバージョン、電源接続時/バッテリー駆動時それぞれの電源モード、実行した作業と所要時間を添えて、PCメーカーのサポートに冷却・電源プロファイルの仕様を確認する
  • バッテリー残量が十分にあるのに急に電源が落ちる、充電されない、満充電容量が設計容量を大きく下回るといった症状が併発している場合は、速度の調整ではなくバッテリーそのものの問題として扱う

別の症状から対処ガイドを探す →

このガイドの適用範囲

対処ガイド — 電源状態ごとに分かれた設定を先に揃える。[設定]>[システム]>[電源とバッテリー]で[電源接続時]と[バッテリー駆動時]の電源モードを確認し、エナジーセーバーまたはバッテリー節約機能のオン・オフとしきい値を確認したうえで、同じ作業で差を再測定する。それでも差が残る場合は、GPUと冷却の制御がOEM側にあるため、メーカーの公開マニュアルで自分の型番の電源・冷却モードを確認する。

掲載内容は2026-09-19の情報確認に基づきます。以降の変更は公式出典でご確認ください。

よくある質問

バッテリーのときだけ遅いのは故障ですか?

多くの場合は故障ではありません。Windowsは電源モードを[電源接続時]と[バッテリー駆動時]で別々に持ち、エナジーセーバーがオンの間は画面輝度が30%下がり電源モードも変更できなくなります(バックグラウンドアプリのブロックは、バッテリー駆動かつ残量が少ない場合の追加動作です)。まず設定を揃えて比較し、それでも差が大きい場合に初めてハードウェアを疑ってください。

[最適なパフォーマンス]にすればAC接続時と同じ速さになりますか?

そうとは限りません。Microsoftはスライダーで調整できるのがCPUの電力管理と電力調整であり、GPUや熱設計といった要素はOEMの管理下にあると明記しています。Lenovoも[最適なパフォーマンス]を「最大のパフォーマンスを優先し、より高い温度とファン速度を許容する」と説明しており、AC接続時と同一になるとは書いていません。

電源モードの項目を変更できません。

2つの公開された原因があります。Microsoftはカスタム電源プランが選択されている場合を挙げ、[コントロール パネル]>[システムとセキュリティ]>[電源オプション]で[バランス]を選ぶよう案内しています。もう1つはエナジーセーバーで、オンの間は「ユーザーはWindowsの設定で電源モードを変更できない」と明記されています。

出典・情報の更新

主な出典の更新・解決日
公式ページで日付を特定できないため記載していません
本サイトの確認日
2026-09-19

公式情報を日本語で整理しています。メニュー名は製品の表示言語や版によって異なる場合があります。確認日は障害の発生日を意味しません。編集方針

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