技適マークとは何か:海外通販の無線マウス・Bluetoothアダプター・Wi-Fiルーターを買う前の確認
海外通販で見つけた無線マウスやBluetoothアダプター、Wi-Fiルーターを日本で使えるかどうかは、値段ではなく制度で決まります。総務省の電波利用ポータルは「技適マークのない機器は日本国内で使用することはできません」と明記しています。技適マークが付くまでの経路は3つあり、そのうち工事設計認証については「一般の方が自分で使用するための無線設備について工事設計認証を求めることはできません」と書かれています。つまり個人輸入した機器を自分で認証してもらう、という解決はできません。この記事は、3つの経路の違い、表示に関する決まり、そして機器の型番を総務省の検索で確かめる手順を示します。制度の説明にとどめ、個別事例の適法性の判断は行いません。
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この記事が役立つ人・作業前の準備
- 海外通販で日本より安い無線周辺機器を見つけ、日本で使えるか確かめたい人
- 販売ページの「技適マーク付き」という表記をどこまで信用してよいか知りたい人
- 中古や並行輸入品の無線機器を買う前に、確認すべき点を整理したい人
用意するもの
- 候補の機器の正確な型番または名称を控える(パッケージや製品ページの表記をそのまま書き写す)
- その機器が無線機能を持つかどうかを確認する(Wi-Fi、Bluetooth、独自の2.4GHzレシーバーのいずれも対象になります)
- 購入経路が国内の正規流通か、海外通販・個人輸入かを整理しておく
1. 技適マークは何のための表示か
総務省の電波利用ポータルは、無線局の開設が原則として免許制であり、使用する無線設備が技術基準に適合していることを免許申請の手続きの際に検査することとされている、と説明しています。そのうえで、特定無線設備については事前に電波法に基づく基準認証を受け、総務省令で定める表示(技適マーク)が付されている場合に、免許手続時の検査の省略等の特例措置が受けられる、としています。
つまり技適マークは「品質が良い」「安全である」ことを示すマークではなく、手続上の特例を受けるための前提です。無線LANやBluetoothの機器を免許も資格もなしに誰でも使えるのは、この仕組みがあるからです。同ポータルの無線LANのページは「電波法令に定める技術基準を満たす機器(技術基準適合証明等が表示されたもの)であれば誰でも無線従事者資格や無線局免許を取得せずに使用できます。」と書いています。
そして同じページは、この記事の出発点になる一文を置いています。「技適マークのない機器は日本国内で使用することはできません。」ここが、海外通販で安い無線機器を見つけたときに最初に突き当たる制約です。
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| 位置づけ | 電波利用ポータルの記載 | 読者にとっての意味 |
|---|---|---|
| 原則 | 無線局の開設は原則として免許制で、無線設備が技術基準に適合していることを免許申請の手続きの際に検査する | 本来は機器ごとに手続きが要る世界 |
| 特例 | 特定無線設備は事前に基準認証を受け、技適マークが付されていれば免許手続時の検査の省略等の特例措置が受けられる | 技適マークは品質の証ではなく、手続を省ける前提 |
| 免許不要で使える条件 | 技術基準を満たす機器(技術基準適合証明等が表示されたもの)であれば誰でも資格や免許なしに使用できる | 普段Wi-FiやBluetoothを何も申請せずに使えている理由 |
| 使えない場合 | 技適マークのない機器は日本国内で使用することはできません | 海外通販で買う前に確認すべき理由 |
2. 技適マークが付くまでの3つの経路と、誰が申請できるか
基準認証制度には3つの経路があります。技術基準適合証明(電波法第38条の6)は、登録証明機関等が特定無線設備について無線設備1台ごとに適合を判定する制度で、証明の求めは「どなたでも申請することができます」。
工事設計認証(電波法第38条の24)は、無線設備そのものではなく設計図(工事設計)と製造等の取扱い段階の品質管理方法を対象とする制度です。実際の無線設備は認証後に製造されます。ここが読者にとって最も重要で、ポータルは「工事設計認証の申請は、特定無線設備の製造、販売、輸入等の取扱いを行う業者が行えます。ただし、一般の方が自分で使用するための無線設備について工事設計認証を求めることはできません。」と明記しています。
技術基準適合自己確認(電波法第38条の33)は、混信その他の妨害を与えるおそれの少ないもの(特別特定無線設備)について、製造業者や輸入業者が自ら検証して適合を確認する制度です。こちらも対象は業者で、FAQには「例えば、アマチュア無線愛好家が購入部品を組み立てて製作した自分用の無線設備について、技術基準適合自己確認の届出を行うことはできません。」という具体例まで書かれています。
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| 制度 | 何を対象に判定するか | 技適マークを付すのは誰か | 誰が申請・届出できるか |
|---|---|---|---|
| 技術基準適合証明(第38条の6) | 特定無線設備について無線設備1台ごとに技術基準への適合を判定 | 登録証明機関 | どなたでも申請できる |
| 工事設計認証(第38条の24) | 設計図(工事設計)と製造等の取扱い段階の品質管理方法 | 認証を受けた者(認証取扱業者) | 製造・販売・輸入等の取扱いを行う業者。一般の方が自分で使用するための無線設備について求めることはできない |
| 技術基準適合自己確認(第38条の33) | 特別特定無線設備の工事設計について製造業者・輸入業者が自ら検証 | 届出を行った製造業者または輸入業者(届出業者) | 特別特定無線設備の製造または輸入を業として反復継続的に行っている者 |
3. 表示に関する決まり:貼れる人、貼れない人
表示についてポータルは「電波法に基づき表示を付する場合を除き、国内において無線設備に技適マークを付すことはできません。」と記載しています。技適マークの表示方法を説明した別ページには、さらに踏み込んだ記載があります。技術基準適合証明等を受けていない機器に技適マークを表示することは電波法第38条の7第3項により禁止されており、違反した者は電波法第112条第1号により50万円以下の罰金に処せられる可能性がある、というものです。
また「表示が付されている特定無線設備の変更の工事をした者は、総務省令で定める方法により、技適マークを除去しなければなりません。」とも記載されています。改造された中古機器を買う場合に意識しておく点です。
表示の場所についても複数の方式が認められています。機器の見やすい箇所への直接表示のほか、機器本体のディスプレイに表示する方式、外部ディスプレイに接続して表示する方式があります。画面表示の場合は「特定の操作によって直ちに明瞭な状態で表示できないといけません」とされ、取扱説明書の添付などで表示方法を明らかにする必要があるとされています。スマートフォンやルーターの設定画面に技適マークが出てくるのはこの方式です。なお、マークの大きさは従来「直径3ミリメートル以上であること」とされていましたが、平成31年2月8日施行の省令により「表示を容易に識別することができるものであること」に改正されています。
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| 表示の方式 | 根拠(証明規則) | 確認のしかた |
|---|---|---|
| 特定無線設備に直接表示 | 第8条第1項第1号 | 本体の見やすい箇所を探す。表示が困難または不合理な場合は取扱説明書や包装・容器への表示も可 |
| 本体のディスプレイに表示 | 第8条第1項第2号 | 設定画面などから表示させる。表示方法は取扱説明書等で明らかにされている必要がある |
| 外部ディスプレイに表示 | 第8条第1項第3号 | 最初に電波を発射する前に、有線で接続して表示できる場合に限られる |
| 組み込んだ製品への表示 | 電波法第38条の7第2項 | 適合表示無線設備を組み込んだ製品に、その表示と同一の表示を付すことができる |
4. 買う前の確認手順
手順は4つです。第一に、実機やパッケージ、または設定画面に技適マークがあるかを確認します。通販で現物を見られない場合は、商品画像や製品ページの仕様欄に表示の写真や記載があるかを探します。第二に、型番または名称で総務省の「技術基準適合証明等を受けた機器の検索」を使って確認します。ポータルはこの検索と、Web-API機能の存在を案内しています。
第三に、販売経路を確認します。国内の正規流通品と、海外通販・個人輸入では前提が違います。ここから先の一般化は当サイトの編集上の整理ですが、国内向けに販売されている製品は通常この制度を通っている一方、個人輸入では確認の責任が自分に来る、という違いがあります。制度文書がその一般化を述べているわけではないので、確認手順のほうを重視してください。
第四に、改造の有無です。表示が付されている特定無線設備の変更の工事をした者は技適マークを除去しなければならない、と制度側に定められています。中古品や分解・改造済みの機器では、この点が問題になりえます。
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| 手順 | 見るところ | 判断 |
|---|---|---|
| 1. 実機・パッケージ・画面表示 | 機器の見やすい箇所、または設定画面の技適マーク | 表示が見当たらない場合、日本国内で使える機器とは限らない |
| 2. 型番・名称で検索 | 総務省「技術基準適合証明等を受けた機器の検索」 | 検索で出てこない機器は、制度上の確認が取れていない |
| 3. 販売経路 | 国内正規流通か、海外通販・個人輸入か | 個人輸入では自分で確認することになる |
| 4. 改造の有無 | 分解・改造された形跡がないか | 変更の工事をした者は技適マークを除去しなければならないとされている |
5. 「海外のメーカーだから無理」ではない:相互承認の仕組み
海外メーカーの製品が日本の制度に入れないわけではありません。ポータルは、技術基準適合証明の事業を行う者として、国内の登録証明機関のほかに、総務大臣の承認を受けた外国の者(承認証明機関)と、相互承認協定(MRA)に基づき合同委員会の登録を受けた登録外国適合性評価機関があると説明しています。観察日時点で、国内の登録証明機関は16法人、登録外国適合性評価機関は18社が掲載されていました。
また自己確認の届出についても、FAQには「日本国内に代表者等が設置されていない場合は、外国のメーカーは、日本国内の輸入業者がその無線設備の技術基準適合自己確認の届出をすることができます。」という記載があります。海外メーカーの製品が日本で正規に流通する道筋は制度上用意されている、ということです。
逆に言えば、その道筋を通っていない機器を個人が後から認証させることはできません。ポータルの記載どおり、工事設計認証は一般の方が自分で使用するための無線設備について求めることができず、自己確認の届出も製造または輸入を業として反復継続的に行っている者に限られます。「買ってから認証してもらえばよい」という解決策は存在しません。
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| 機関の種類 | 位置づけ(ポータルの記載) | 観察日時点の掲載数 |
|---|---|---|
| 登録証明機関(第38条の2の2) | 技術基準適合証明の事業を行う者として総務大臣の登録を受けた国内の者 | 16法人 |
| 承認証明機関(第38条の31) | 技術基準適合証明の事業を行う者として総務大臣の承認を受けた外国の者 | 個別の掲載数はページ上の一覧では示されていない |
| 登録外国適合性評価機関(MRA法第29条) | MRAを我が国と締結した国の機関であって、協定に基づく合同委員会の登録を受けたもの | 18社(うち1社は業務停止中と記載) |
6. 周波数の制度とは別の話であること、この記事の限界
機器が認証されていることと、その周波数をどこで使えるかは別の制度です。たとえば6GHz帯のWi-Fiは、機器が認証されていても、屋内限定のLPIと屋外でも使えるVLPという電力モードの区分があり、運用場所の制限が別にかかります。当サイトの日本の6GHz帯の記録でその点を扱っています。技適マークがあれば場所を問わず使える、というわけではありません。
この記事は制度の説明と確認手順にとどめ、個別事例の適法性の判断は行いません。罰則についてはポータルが記載している範囲(技術基準適合証明等を受けていない機器への技適マークの表示が禁止されており、違反した者は50万円以下の罰金に処せられる可能性があること)を引用するだけで、法的な評価や、どの行為が違反に当たるかの判断は行いません。
入国者が持ち込む機器の特例といった個別の制度については、この記事の準備で該当ページを開けていないため扱いません。また電気用品安全法(PSE)は別の制度で、この記事の準備では経済産業省の該当ページを取得できていないため触れません。混同しないでください。
注意点・利用条件
- 販売ページの「技適マーク付き」という自己申告だけを根拠にしないでください。ポータルは、電波法に基づき表示を付する場合を除き、国内において無線設備に技適マークを付すことはできないと記載しています。実機の表示と、総務省の検索の両方で確かめてください。
- 個人輸入した機器を、自分で認証してもらうことはできません。工事設計認証は一般の方が自分で使用するための無線設備について求めることができず、技術基準適合自己確認の届出も製造業者または輸入業者に限られます。
- 「技適マークがあれば場所を問わず使える」わけではありません。6GHz帯のように、周波数ごとに運用場所の制限が別にかかる帯域があります。
- この記事は制度の説明です。個別の機器や取引が適法かどうかの判断は行いません。判断に迷う場合は、総務省の基準認証制度に関する問い合わせ窓口に確認してください。
よくある質問
国内で売っている製品なら必ず技適マークが付いていますか。
この記事は「必ず付いている」という一般化を行いません。確認の手順は決まっていて、実機・パッケージ・設定画面で表示を探し、型番または名称で総務省の「技術基準適合証明等を受けた機器の検索」を引く、という2段階です。国内の正規流通品であれば通常この確認は通りますが、確認そのものを省く理由にはなりません。
画面に表示される技適マークは、どう確認すればよいですか。
制度上、本体のディスプレイに表示する方式と、外部ディスプレイに接続して表示する方式が認められています。いずれも「特定の操作によって直ちに明瞭な状態で表示できないといけません」とされ、その表示方法は取扱説明書の添付や設定画面での案内などによって明らかにされている必要があります。まず取扱説明書または設定メニューで、技適マークの表示方法についての記載を探してください。
中古で買った無線機器はどうすればよいですか。
2点を確認してください。1つは表示の有無で、本体の見やすい箇所または設定画面に技適マークがあるか。もう1つは改造の有無です。制度側には、表示が付されている特定無線設備の変更の工事をした者は総務省令で定める方法により技適マークを除去しなければならない、と定められています。分解や改造の形跡がある個体は、この点で問題になりえます。
海外メーカーの製品は日本では使えないということですか。
そうではありません。制度には、国内の登録証明機関のほかに、総務大臣の承認を受けた外国の者(承認証明機関)と、相互承認協定に基づく登録外国適合性評価機関があります。また日本国内に代表者等が置かれていない海外メーカーについては、日本国内の輸入業者が技術基準適合自己確認の届出をすることができる、とFAQに記載されています。問題は「海外メーカーかどうか」ではなく「その型番がこの制度を通っているかどうか」です。
出典・確認日
情報確認日:。仕様・操作方法・価格などの確認に使用した出典を掲載しています。適用条件や現在の情報は各リンク先で確認してください。
- 総務省 電波利用ポータル:基準認証制度の概要(登録証明機関一覧)。免許制の原則と特定無線設備に対する特例、技術基準適合証明・工事設計認証・技術基準適合自己確認の定義と条文番号、技適マークを付す者、表示に関する規定、登録証明機関16法人と登録外国適合性評価機関18社の一覧、機器の検索とWeb-API機能の案内。2026-09-20閲覧 ↗
- 総務省 電波利用ポータル:技適マークの表示方法。未認証機器への表示の禁止と罰則の記載、表示を行う者、マークの大きさに関する平成31年の省令改正、直接表示・本体ディスプレイ・外部ディスプレイ・組み込み製品という4つの表示方法。2026-09-20閲覧 ↗
- 総務省 電波利用ポータル:基準認証制度についてよくある質問(FAQ)。海外からの輸入品に認証が必要かという質問への回答、自己確認の届出ができる者の範囲、日本国内に代表者を置かない海外メーカーの場合に国内の輸入業者が届出できる旨。2026-09-20閲覧 ↗
- 総務省 電波利用ポータル:小電力データ通信システム(無線LAN等)。免許不要で使用できる条件、「技適マークのない機器は日本国内で使用することはできません」の記載、周波数帯ごとの運用場所の制限。2026-09-20閲覧 ↗
- 総務省:技術基準適合証明等を受けた機器の検索(型番・名称から確認するための入口)。2026-09-20に到達を確認 ↗
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