有線LANを2.5GbEか10GbEに上げる前に:空きスロットとケーブル長を先に見る
有線LANを速くしたいとき、最初に決まるのは速度ではなく、PCに空きがあるかどうかです。10GbEのカードはPCIeの4レーンを、2.5GbEのコントローラーは1レーンを使う、とそれぞれの製品ページに書かれています。ケーブルの条件も違い、10GBASE-Tの製品ページにはカテゴリー6では55mまで、カテゴリー6Aで100mまでという記載があります。この記事は2026-09-21にIntelの製品仕様ページ2つを読み、書かれていたことだけを整理します。速度の実測は行っておらず、価格についてもIntelが示す「推奨顧客価格」を、その名前のまま引用します。小売価格ではありません。
公開 · 更新 · FaultNote 編集方針
この記事が役立つ人・作業前の準備
- NASや別のPCとの転送が遅く、有線LANの速度を上げようとしている人
- 2.5GbEと10GbEのどちらを買うかで迷っていて、判断材料を仕様から取りたい人
- LANカードを買う前に、自分のPCに挿せるかどうかを確かめたい人
用意するもの
- PCの空きPCIeスロットを確認する(形状と、マザーボードのスペックページに書かれた動作レーン数の両方)
- PCケースの高さ方向の制約を確認する(ロープロファイルのブラケットが必要かどうか)
- 実際に配線する距離と、使っているLANケーブルのカテゴリー表示を確認する
1. 速度より先に、スロットの条件が決まっている
Intel の Ethernet Converged Network Adapter X550-T2 の仕様ページには、System Interface Type として PCIe v3.0 (8.0 GT/s)、Speed & Slot Width として 8.0 GT/s, x 4 Lane と書かれています(原文は英語、訳は当サイトによるものです)。4レーンを使う製品だ、ということです。
一方、2.5GbE側として読んだ Intel Ethernet Controller I226-IT のページには、System Interface Type が PCIe 3.1、Speed & Slot Width が 5G, x1 と書かれています。こちらは1レーンです。
この違いが、買えるかどうかを先に決めます。マザーボード上の短いPCIe x1スロットに、x4を要求するカードは(形状の面で)そのままでは挿さりません。逆に、x16の形をしたスロットが空いていても、そのスロットが実際に何レーンで動くかはマザーボード側の仕様です。スロットの本数ではなく動作レーン数を読む、という点は、M.2スロットの読み方と同じ考え方です。
ブラケットの高さも、ページに書かれています。X550-T2 の Bracket Height は Low Profile and Full Height です。小型ケースでは、この記載があるかどうかが実装可否を分けます。
2. 10GBASE-Tは、ケーブルのカテゴリーで到達距離が変わる
X550-T2 の仕様ページには、Cabling Type として RJ45 Category 6 up to 55m; Category 6A up to 100m と書かれています。カテゴリー6なら55mまで、カテゴリー6Aなら100mまで、という記載です。
家庭やSOHOで55mを超える配線は多くありませんが、ここで効いてくるのは長さそのものより「手持ちのケーブルのカテゴリーを確認する必要がある」という点です。ケーブルの選び方そのものは、当サイトのLANケーブルの記事で扱っています。この記事では、カードの製品ページ側にも距離の条件が書かれている、という事実だけを示します。
Cable Medium は Copper、つまりRJ45の銅線です。光ファイバー(SFP+)の製品ではありません。同じ10GbEでも、RJ45の製品と光モジュールを挿す製品では必要なものが違います。この記事が読んだのはRJ45の製品です。
3. 読んだ2製品の記載を並べる
下の表は、Intelの仕様ページに書かれていた項目をそのまま並べたものです。性能の比較表ではありません。買う前に確認する項目が、製品ページのどこに書かれているかを示す表です。
1つ注意点があります。X550-T2 は完成した拡張カードの製品で、I226-IT はコントローラー(チップ)の製品です。読者が店頭で買うのは、I226のようなコントローラーを載せたカードやマザーボードであって、チップ単体ではありません。行が対応していないのはそのためです。
表は横にスクロールできます →
| 仕様ページの項目 | X550-T2(拡張カード、10GbE) | I226-IT(コントローラー、2.5GbE) |
|---|---|---|
| Data Rate Per Port | 10GbE/5GbE/2.5GbE/1GbE/100Mb | 2.5G |
| Port Configuration | Dual(2ポート) | Single(1ポート) |
| System Interface Type | PCIe v3.0 (8.0 GT/s) | PCIe 3.1 |
| Speed & Slot Width | 8.0 GT/s, x 4 Lane | 5G, x1 |
| Cabling Type | RJ45 Category 6 up to 55m; Category 6A up to 100m | 記載なし(Interfaces Supported は NBASE-T) |
| Launch Date / TDP | Q1'16/TDPの記載なし | Q2'22/TDP 1.5 W |
| Recommended Customer Price | $106.00 | $7.02 |
4. 仕様ページの「小さく書かれた限定」を読む
X550-T2 の仕様ページには、Supplemental Information の Description という欄があり、そこに NBASE-T support in Linux Only と書かれています。NBASE-T は、1GbEと10GbEの中間である2.5GbE・5GbEを実現する規格の呼び名です。
この一文が何を意味するのか、ページ自体は説明していません。当サイトも説明しません。当サイトは動作確認をしていないので、「Windowsで2.5GbEにならない」とも「なる」とも書きません。書けるのは、Data Rate Per Port に 10GbE/5GbE/2.5GbE/1GbE/100Mb と書かれている同じページに、この限定が併記されている、ということだけです。中間速度を目当てにこの製品を選ぶなら、購入前にメーカーまたは販売店へ確認する必要があります。
こうした欄は、仕様表の目立つ場所ではなく Supplemental Information のような補足欄に置かれます。速度の数字だけを見て決めると読み落とします。
価格についても同じ注意が要ります。ページに書かれている $106.00 と $7.02 は Recommended Customer Price、つまりIntelが示す推奨顧客価格です。小売価格ではありませんし、当サイトはこの日の店頭価格を確認していません。特に I226-IT の $7.02 はチップ単体の価格であり、それを載せた拡張カードの価格ではありません。
5. 買う前に確認する順番
速度の数字は最後です。先に確認するのは、挿せるか・つながるか・相手がいるか、の3点です。
3点目を落としやすいので補足します。PC側だけを10GbEにしても、接続先のスイッチやNASが同じ速度に対応していなければ、その速度にはなりません。これは当サイトが実測して言えることではなく、リンク速度が両端の対応の低いほうで決まる、というごく一般的な前提です。
表は横にスクロールできます →
| 確認する順 | 見る場所 | 落ちやすい点 |
|---|---|---|
| 1. スロットに挿さるか | カードの Speed & Slot Width、マザーボードのスロット欄 | x16の形でも動作が x1 のスロットがあります |
| 2. ケースに入るか | カードの Bracket Height | 小型ケースではロープロファイル対応の記載が必須です |
| 3. 接続先が対応しているか | スイッチ・ルーター・NASの仕様 | PC側だけ速くしても、両端の低いほうで決まります |
| 4. ケーブルが条件を満たすか | カードの Cabling Type、手元のケーブルのカテゴリー表示 | 10GBASE-Tはカテゴリー6と6Aで到達距離の記載が違います |
| 5. 中間速度が要るか | 仕様ページの補足欄(Description など) | 2.5G・5Gの扱いに限定が併記されていることがあります |
注意点・利用条件
- この記事は2026-09-21に閲覧した2ページの記載に基づきます。Intelの仕様ページには、情報は予告なく変更されうる旨の注記があります。買う前にページを開き直してください。
- Intelの製品ページのURLは、型番の一部だけを変えると別の製品のページが開くことがあります。この記事でも、2.5GbEのコントローラーを開こうとしたURLが I226-IT のページへ転送されました。ページ上部の製品名を必ず確認してください。
- Recommended Customer Price は小売価格ではありません。当サイトはこの日の店頭価格・在庫を確認していないため、実売価格としては扱いません。
よくある質問
10GbEのカードは、空いているPCIeスロットならどこでも使えますか。
製品ページに書かれたレーン数を確認してください。X550-T2 は Speed & Slot Width が 8.0 GT/s, x 4 Lane です。マザーボード側のスロットが何レーンで動くかは、マザーボードのスペックページに書かれています。
2.5GbEと10GbEでは、必要なものがどう違いますか。
この記事が読んだ2ページの範囲では、PCIeのレーン数(x4 と x1)が違い、10GBASE-T側にはケーブルのカテゴリーと到達距離の記載があります。そのほかの差(消費電力、発熱、対応OS)は製品ごとに書かれ方が異なるため、それぞれのページで確認する必要があります。
カテゴリー6のケーブルで10GbEは使えますか。
X550-T2 の仕様ページには RJ45 Category 6 up to 55m; Category 6A up to 100m と書かれています。カテゴリー6でも距離の条件つきで記載がある、という読み方になります。ケーブル側の選び方は、当サイトのLANケーブルの記事で扱っています。
PCだけ10GbEにすれば速くなりますか。
接続先が同じ速度に対応している必要があります。リンク速度は両端の対応の低いほうで決まるため、スイッチやNAS側の仕様も確認してください。当サイトは速度を実測していません。
仕様ページに書かれた価格は、そのまま買える価格ですか。
いいえ。ページの表記は Recommended Customer Price(推奨顧客価格)です。小売価格ではなく、当サイトも当日の店頭価格を確認していません。特にコントローラー製品の価格は、それを載せた拡張カードの価格ではありません。
出典・確認日
情報確認日:。仕様・操作方法・価格などの確認に使用した出典を掲載しています。適用条件や現在の情報は各リンク先で確認してください。
- Intel:Ethernet Converged Network Adapter X550-T2 製品仕様(ARK)。Vertical Segment が Server、Cable Medium が Copper、Cabling Type が RJ45 Category 6 up to 55m; Category 6A up to 100m、Bracket Height が Low Profile and Full Height、Recommended Customer Price が $106.00、Supplemental Information の Description が NBASE-T support in Linux Only、Data Rate Per Port が 10GbE/5GbE/2.5GbE/1GbE/100Mb、Port Configuration が Dual、Speed & Slot Width が 8.0 GT/s, x 4 Lane、System Interface Type が PCIe v3.0 (8.0 GT/s)、Launch Date が Q1'16 である旨。2026-09-21閲覧 ↗
- Intel:Ethernet Controller I226-IT 製品仕様(ARK)。Launch Date が Q2'22、Lithography が 28 nm、TDP が 1.5 W、Recommended Customer Price が $7.02、Port Configuration が Single、Data Rate Per Port が 2.5G、System Interface Type が PCIe 3.1、Speed & Slot Width が 5G, x1、Interfaces Supported が NBASE-T、Jumbo Frames Supported が Yes である旨。2026-09-21閲覧 ↗