ケースファンの選び方:120mmと140mm、PWM(4ピン)とDC(3ピン)の違いを公式仕様で比べる
ケースファンは「大きいほど静か」「4ピンなら何でも制御できる」と決めつけず、ケースの取付枠、マザーボードのヘッダーの制御方式、置く場所(吸気・排気・ラジエーター)の3つで選びます。メーカーが公開している同シリーズの120mm・140mmの仕様値を並べ、PWMとDCの違いをマザーボードメーカーとファンメーカーの説明で確認し、購入前に確かめる項目を整理します。
公開 · 更新 · FaultNote 編集方針
この記事が役立つ人・作業前の準備
- 自作PCや購入したPCにケースファンを増設・交換したいが、120mmと140mmのどちらを何個買えばよいか決めかねている人
- 3ピンのファンが回転数制御できない、4ピンのヘッダーに3ピンを挿してよいか分からないなど、接続の疑問を解消したい人
用意するもの
- ケースの型番と製品ページの仕様(前面・上面・背面・側面それぞれの対応ファンサイズと個数、ラジエーター対応)
- マザーボードのファンヘッダーの数と、BIOSで各ヘッダーをPWM/DCに切り替えられるか(マニュアルのQ-Fanなどの項目)
- いま付いているファンのサイズ、コネクターのピン数、取り付け位置
1. 取り付けられるサイズはケースの仕様で決まる:前面3×120か2×140のような読み方
ファンのサイズは、まずケースの仕様で決まります。Fractal DesignのNorthを例にすると、前面は「3×120mm または 2×140mm」、上面と側面は「2×120/140mm」、背面は「1×120mm」で、前面に140mmのAspect 14 PWMが2基付属します。同じ前面でも120mmを3基にするか140mmを2基にするかで数が変わり、背面のように120mmしか付かない位置もあります。ラジエーター対応も同様に、上面120/240、前面120/140/240/280/360、背面120と位置ごとに決まっており、240mmは120mmファン2基、280mmは140mmファン2基が基準です。
厚さも確認します。120×25mm・140×25mmが一般的ですが、ARCTICのP14 PWM PSTは140×140×27mmで、ラジエーターやサイドパネルとの隙間が小さい位置では数mmの差が干渉の原因になります。ケースの仕様に対応サイズが書かれていない位置には、変換ブラケットを使わない限り取り付けられません。
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| 取付位置(Fractal Design Northの例) | 対応サイズと個数 | 対応ラジエーター |
|---|---|---|
| 前面 | 3×120mm または 2×140mm(140mm×2基が付属) | 120/140/240/280/360 |
| 上面 | 2×120/140mm | 120/240 |
| 側面 | 2×120/140mm | 2×120/140mm |
| 背面 | 1×120mm | 120 |
- ケースの製品ページで、前面・上面・背面・側面(底面)それぞれの対応サイズと最大個数を控えます。
- ラジエーターを付ける予定の位置は、ラジエーターのサイズ(240/280/360)とファンの厚みを含めて干渉しないかを確認します。
- 付属ファンがある場合は、そのサイズと個数を確認し、同じ位置には同じサイズで統一します。
2. 120mmと140mmの仕様値を同じシリーズで比べる:回転数・騒音値・風量・静圧
同じシリーズで比べると、140mmは低い回転数で120mmより多い風量を出す傾向が仕様値に表れます。be quiet!のPure Wings 3では、120mm PWMが最大1,600rpmで49.9CFM・1.45mmH2O・25.5dB(A)、140mm PWMが最大1,200rpmで57.4CFM・0.96mmH2O・21.9dB(A)です。高速版では120mm PWM high-speedが2,100rpmで59.6CFM・2.41mmH2O・30.9dB(A)、140mm PWM high-speedが1,800rpmで72.2CFM・2.44mmH2O・30.5dB(A)です。ARCTICのP12 PWM PSTは200〜1,800rpmで56.30CFM・2.20mmH2O、P14 PWM PSTは200〜1,700rpmで72.80CFM・2.40mmH2O(いずれも騒音値は0.3ソーン表記)です。
この数値はメーカーが自社の条件で測った最大回転時の値で、メーカーをまたいで騒音値や風量を直接比べることはできません(be quiet!はdB(A)、ARCTICはソーンで表記しています)。同じメーカー・同じシリーズの中でサイズ違いを比べる目的で使い、実際の静かさは回転数を下げた状態で決まるため、最低回転数(ARCTICは200rpm、PWM 5%未満で停止)も見ておきます。
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| 製品(メーカー公表値) | サイズ | 最大回転数 | 風量 | 静圧 | 騒音値 |
|---|---|---|---|---|---|
| be quiet! Pure Wings 3 120mm PWM | 120×25mm | 1,600rpm | 49.9CFM(84.8m³/h) | 1.45mmH2O | 25.5dB(A) |
| be quiet! Pure Wings 3 140mm PWM | 140×25mm | 1,200rpm | 57.4CFM(97.5m³/h) | 0.96mmH2O | 21.9dB(A) |
| be quiet! Pure Wings 3 120mm PWM high-speed | 120×25mm | 2,100rpm | 59.6CFM(101.2m³/h) | 2.41mmH2O | 30.9dB(A) |
| be quiet! Pure Wings 3 140mm PWM high-speed | 140×25mm | 1,800rpm | 72.2CFM(122.6m³/h) | 2.44mmH2O | 30.5dB(A) |
| ARCTIC P12 PWM PST | 120×25mm | 200〜1,800rpm(PWM 5%未満で停止) | 56.30CFM(95.70m³/h) | 2.20mmH2O | 0.3ソーン |
| ARCTIC P14 PWM PST | 140×27mm | 200〜1,700rpm(PWM 5%未満で停止) | 72.80CFM(123.76m³/h) | 2.40mmH2O | 0.3ソーン |
- 候補のファンを同じメーカー・同じシリーズで120mmと140mmを並べ、最大回転数・風量・静圧・騒音値・最低回転数を控えます。
- ケースの取付枠が140mm対応なら、同じ風量をより低い回転数で得られる140mmを優先します。120mmしか付かない位置は120mmです。
- 騒音値の比較はメーカー内にとどめ、メーカーをまたぐ場合は第三者が同一条件で測ったレビューを別途探します。
3. PWM(4ピン)とDC(3ピン)の違い:制御の仕組みと、ヘッダー設定を合わせる
ARCTICの解説では、4ピンコネクターのピン1がGND、ピン2が電源、ピン3が回転数信号、ピン4がPWM信号です。PWM(パルス幅変調)は規格化されたパルス信号で回転数を指示する方式で、電圧を下げずに細かく制御でき、低い回転数まで下げられます。3ピンファンはPWM信号を受ける線がなく、ARCTICは「通常は固定回転」で、対応マザーボードなら電圧制御(DCモード)で回転数を変えられるが、効率が下がり最低回転数が高くなると説明しています。
ASUSのBIOS解説(2024年12月5日更新)は、Q-Fan ControlでヘッダーごとにPWM/DCを選べ、「PWMは4ピンファン用、DCは3ピンファン用」と案内しています。ARCTICは3ピンと4ピンは互換性があるものの制限があると説明しており、4ピンのヘッダーに3ピンファンを挿した場合は、回転数を制御するためにそのヘッダーをDCモードに切り替えます。逆に4ピンファンをDCモードのヘッダーにつなぐと、PWM信号ではなく電圧で制御されます。be quiet!のPure Wings 3は動作電圧5〜13.2Vと公表しており、電圧制御でも回る範囲が仕様に書かれています。
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| 項目 | PWM(4ピン) | DC(3ピン) |
|---|---|---|
| 回転数の制御方法 | ピン4のPWM信号で指示(電圧は一定) | 供給電圧を下げて減速 |
| 低回転側の下限 | 低い回転数まで下げやすい。ARCTIC P12/P14はPWM 5%未満で停止 | 最低回転数が高くなる(ARCTICの説明)。始動電圧を下回ると回らない |
| ヘッダー側の設定 | PWMモード(ASUS:4ピンファン用) | DCモード(ASUS:3ピンファン用) |
| 組み合わせの注意 | DCモードのヘッダーでは電圧制御になる | PWMモードのままでは制御できないことがある。DCモードに切り替える |
- いま付いているファンと買うファンのコネクターのピン数を確認し、4ピンならPWM、3ピンならDCと控えます。
- マザーボードのBIOS(ASUSならQ-Fan Control)で、各ヘッダーの制御モードをつないだファンのピン数に合わせます。
- 3ピンファンが全開で回り続ける場合は、そのヘッダーがPWMモードになっていないかを確認し、DCモードに変更します。
4. 風量重視か静圧重視か:置く場所で決める
静圧(mmH2O)は、フィルターやラジエーター、密なメッシュのように空気の通り道に抵抗がある場所で風を押し通す力の目安です。ARCTICはP12/P14を「静圧を重視して設計し、ヒートシンクやラジエーターでの使用に特に適する」と説明し、be quiet!はPure Wings 3のフレームをラジエーター性能のために設計したと述べています。風量(CFM、m³/h)は抵抗の少ない開口部で空気を多く動かす目安で、背面や上面の排気のように障害物が少ない位置で参考にします。
実際のケースでは、前面はフィルター越しの吸気、ラジエーターはフィン越しの送風になるため静圧の値を見て、背面の排気は風量と騒音値を見る、という使い分けが基本です。この記事はファンの実測を行っていないため、どの製品がどの位置で何度下がるかは示せません。
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| 取り付け位置 | 重視する仕様値 | 理由 |
|---|---|---|
| 前面・底面の吸気(フィルター付き) | 静圧と最低回転数 | フィルターの抵抗を押し通す必要がある |
| ラジエーター(AIO・水冷) | 静圧 | ARCTIC・be quiet!ともにラジエーター向けの設計を静圧で説明 |
| 背面・上面の排気(開口が広い) | 風量と騒音値 | 抵抗が少なく、動かせる空気の量で決まる |
- 取り付け位置ごとに、前にフィルター・ラジエーター・密なメッシュがあるか(静圧が必要か)を確認します。
- 静圧が必要な位置は、同シリーズ内で静圧の高いモデル(高速版など)か静圧向けのシリーズを選び、そうでない位置は風量と騒音値で選びます。
- ラジエーター用は、ラジエーターのサイズに合わせて同じファンを必要数そろえます(240mmなら120mm×2、280mmなら140mm×2)。
5. マザーボードのヘッダー数と電流:分岐ケーブルとデイジーチェーンの限度
ファンの数がヘッダー数を超える場合は、分岐ケーブルやARCTICのPST(PWM共有)のようなデイジーチェーンを使います。ARCTICは、PSTではPWM信号を次のファンへ渡し、1本のヘッダーから複数のファンを同じファンカーブで制御できると説明しています。つなげる数の上限はヘッダーの電流容量で決まり、ARCTICは一般的なヘッダーを1〜2A、たとえば1Aのヘッダーに0.13Aのファンなら理論上7基までとし、超えると電圧降下やマザーボードの損傷につながると注意しています。
ファンの定格電流は仕様表にあります(ARCTIC P12 PWM PSTは0.1A、P14 PWM PSTは0.12A、be quiet! Pure Wings 3 120mm PWMは0.10A)。ヘッダーの上限はマザーボードのマニュアルに記載されるため、合計が上限に収まるかを足し算で確認します。ASUSの解説では、Q-Fan ControlはCPU FAN・CHA1 FAN・CHA2 FAN・M.2 FAN・W_PUMP+・AIO PUMPの各ヘッダーで個別にモードとプロファイル(Standard/Silent/Turbo/Full Speed、または手動カーブ)を設定でき、「Optimize All」は2〜5分かかります。
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| 接続方法 | 向く場面 | 確認すること |
|---|---|---|
| ヘッダーに1基ずつ | ヘッダー数が足りる | 各ヘッダーのPWM/DC設定 |
| 分岐ケーブル・PSTデイジーチェーン | 同じ位置のファンを同じカーブで回す | 定格電流の合計がヘッダー上限内 |
| SATA給電のファンハブ | ファンが多く、ヘッダーの電流が足りない | ハブがPWM信号を全ポートへ渡すか |
- マザーボードのマニュアルでファンヘッダーの数と、1ヘッダー当たりの電流上限(A)を確認します。
- 1本のヘッダーにつなぐファンの定格電流を合計し、上限を超えないように分配します。超える場合はSATA電源から給電するファンハブを使います。
- 接続後にBIOSのファン設定画面で各ヘッダーの回転数が表示され、カーブに従って変わることを確認します。
6. 購入前のチェック表:サイズ・個数・ピン数・ヘッダー
買う前に「位置ごとのサイズと個数」「ピン数とヘッダーのモード」「ヘッダーの電流」「ラジエーターとの組み合わせ」を1枚の表にします。この記事は実売価格を調査していないため、同じ日に販売店で1基あたりの価格と複数個パックの価格を確認してください。保証期間もメーカーで差があり、ARCTICはP12/P14に6年、be quiet!はPure Wings 3のライフスパンを80,000時間(25℃)と公表しています。
表は横にスクロールできます →
| 確認項目 | どこで見るか | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 対応サイズ・個数 | ケースの製品仕様 | 背面は120mmのみなど位置で違う。厚み27mmの製品もある |
| ピン数とヘッダーのモード | ファン仕様、マザーボードのBIOS | 3ピンファンはヘッダーをDCモードにして制御する |
| ヘッダーの電流上限 | マザーボードのマニュアル | 分岐で合計電流が上限を超えない |
| 騒音値・風量の比較 | 同じメーカーの仕様表 | メーカーをまたぐ比較はできない(測定条件・単位が違う) |
- 位置ごとに「サイズ、個数、静圧重視か風量重視か、ピン数、つなぐヘッダー」を1行で並べます。
- 同じ位置には同じモデルをそろえ、ヘッダーの電流上限と数を満たすかを確認してから購入数を決めます。
- 届いたら、ケースへの取り付け前にコネクターのピン数と厚みを確認し、取り付け後にBIOSで回転数の表示と制御を確認します。
注意点・利用条件
- 仕様値は2026年9月13日に各メーカーの製品ページで確認した最大回転時の公表値です。測定条件と単位がメーカーごとに異なるため、メーカーをまたぐ騒音値・風量の比較には使えません。
- この記事はファンの実測を行っていません。温度の低下幅や実際の騒音は示していません。
- ヘッダーの電流上限とBIOSの項目名はマザーボードごとに異なります。分岐やデイジーチェーンの前に必ずマニュアルで上限を確認してください。
よくある質問
3ピンのファンを4ピンのヘッダーに挿しても大丈夫ですか?
物理的には接続でき、回転します。ただしASUSの解説ではPWMモードは4ピンファン用、DCモードは3ピンファン用なので、回転数を制御するにはそのヘッダーをDCモードにします。ARCTICは、電圧制御はPWMより効率が下がり最低回転数が高くなると説明しています。
120mmと140mmはどちらが静かですか?
同じシリーズでは140mmが低い回転数で多い風量を出す傾向があり、be quiet! Pure Wings 3では140mm PWM(1,200rpm・57.4CFM・21.9dB(A))が120mm PWM(1,600rpm・49.9CFM・25.5dB(A))より風量が多く騒音値が低い仕様です。ただし取り付けられるサイズはケースの位置ごとに決まります。
1本のヘッダーに何基までつなげますか?
ARCTICはヘッダーの電流容量(一般に1〜2A)とファンの定格電流で決まると説明しています。マザーボードのマニュアルで上限を確認し、ファンの定格電流の合計がそれ以下になるように分けます。
出典・確認日
情報確認日:。仕様・操作方法・価格などの確認に使用した出典を掲載しています。適用条件や現在の情報は各リンク先で確認してください。
- be quiet! Pure Wings 3 120mm PWM technical data ↗
- be quiet! Pure Wings 3 140mm PWM technical data ↗
- be quiet! Pure Wings 3 120mm PWM high-speed technical data ↗
- be quiet! Pure Wings 3 140mm PWM high-speed technical data ↗
- ARCTIC P12 PWM PST product page and specifications ↗
- ARCTIC P14 PWM PST product page and specifications ↗
- ARCTIC blog: What exactly is PWM PST ↗
- ARCTIC support: Fan settings in UEFI ↗
- ASUS FAQ 1044236: UEFI BIOS EZ Mode GUI introduction (Q-Fan Control, updated December 5, 2024) ↗
- Fractal Design North (Charcoal Black) specifications ↗
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