比較・選び方 · Microsoftが公開するWindows 11のライセンス条項(OEM(プレインストール)版、英語版および日本語版)の第4条「譲渡」、第5条「許可されたソフトウェアおよびライセンス認証」、第7条のダウングレードの権利、および自作PCのパーツ交換時の扱いに関する記述

Windowsのライセンスは新しいPCに移せるのか:ライセンス条項第4条が分けている2つの取得経路

PCを買い替えるとき、あるいは自作機を組み直すときに出てくる問いです。今使っているWindowsのライセンスは、新しいPCに持っていけるのか。答えは、そのWindowsをどう手に入れたかで変わります。Microsoftは、Windows 11のライセンス条項をPDFで公開しており、その第4条「譲渡」が、この問いに直接答える形で2つの場合に分けています。デバイスにプレインストールされていた場合と、スタンドアロンソフトウェアとして取得した場合です。前者は「ライセンスを取得したデバイスと共にのみ」他のユーザーへ譲渡でき、後者は自分が所有する別のデバイスへ移せると書かれています。ただし後者にも条件が付いており、移すたびに以前のデバイスから削除する必要があること、そしてデバイス間でライセンスを共有するための譲渡はできないことが明記されています。この記事は、条文の実際の言葉を両言語で確認し、ライセンス認証が通ることが何を証明しないのかまで含めて整理します。

公開 · 更新 · FaultNote 編集方針

Windowsのライセンスは新しいPCに移せるのか:ライセンス条項第4条が分けている2つの取得経路の流れ:1. 条文はどこにあり、何を対象としているか、2. 第4条a:デバイスにプレインストールされていた場合、3. 判断表:取得経路ごとに、条文が何を許諾しているか、4. 第4条b:スタンドアロンソフトウェアとして取得した場合、5. ライセンス認証が通ることは、何を証明しないのか
この記事の手順・確認項目の一覧。実際のアプリ画面ではありません。

この記事が役立つ人・作業前の準備

  • PCを買い替える予定で、今のWindowsのライセンスを新しいPCで使えるのかを知りたい人
  • 自作PCのパーツを大きく入れ替える予定で、ライセンスの扱いが変わるのかを条文から確認したい人
  • 「OEM版は移せない」という説明の根拠がどこにあるのかを、一次情報で確かめたい人

用意するもの

  • 今使っているWindowsをどう手に入れたかを思い出す(PCに最初から入っていたのか、単体で購入したのか、そこからアップグレードしたのか)
  • PC本体やパッケージに、プロダクトキーを含むWindowsのラベルが貼られていないかを確認する
  • Microsoftのライセンス条項のページを開き、自分が使っているエディションとバージョンに対応する文書を探せる状態にする

1. 条文はどこにあり、何を対象としているか

最初に、読むべき文書を特定します。Microsoftは Microsoft License Terms のページで製品別のライセンス条項をPDFで公開しており、Windows 11についても複数の版があります。この記事が読んだのは、そのうち OEM(プレインストール)区分に置かれている Windows 11 のライセンス条項で、英語版と日本語版の両方です。文書の冒頭には「Last updated April 2024」(日本語版は「最終更新: 2024 年 4 月」)と記載されています。

冒頭には、この契約が誰と誰の間のものかも書かれています。ソフトウェアをどう取得したかに応じて、(i) デバイスと共にソフトウェアを頒布するデバイス製造業者またはソフトウェアインストール業者との間、あるいは (ii) 小売業者から取得した場合はMicrosoftとの間の契約になる、という構造です。つまり、この文書自体が取得経路によって相手方が変わることを前提に書かれています。

重要な除外も同じ条文の冒頭にあります。第4条は「お客様がドイツ、または https://aka.ms/transfer に掲示されているいずれかの国で本ソフトウェアを取得した場合、本条の規定は適用されません」と始まり、その場合の譲渡と使用権は適用される法令に準拠する必要がある、と書かれています。自分の国がその一覧に含まれるかどうかは、Microsoftが掲示しているページ側の内容であり、この記事は一覧の中身を転記しません。

また、ボリュームライセンスの利用者については、この契約ではなくボリュームライセンス契約が適用される、と冒頭に明記されています。会社から配布された端末の扱いは、この記事の範囲外です。

2. 第4条a:デバイスにプレインストールされていた場合

第4条は2つに分かれています。まずaの、デバイスにプレインストールされていた場合です。日本語版はこう書いています。「お客様は、デバイスにプレインストールされた本ソフトウェアを取得した場合 (およびデバイスにプレインストールされた本ソフトウェアからアップグレードした場合)、ライセンスを取得したデバイスと共にのみ、本ソフトウェアを使用するライセンスを別のユーザーに直接譲渡することができます。」

英語版の対応箇所は「you may transfer the license to use the software directly to another user, only with the licensed device.」です。カギになるのは only with the licensed device、つまり「ライセンスを取得したデバイスと共にのみ」という限定です。ソフトウェアだけを切り離して別のPCに移す、という形は、この条文の許諾に含まれていません。

括弧書きも見落とせません。「およびデバイスにプレインストールされた本ソフトウェアからアップグレードした場合」と書かれています。プレインストール版から後にアップグレードしたものも、この項の扱いになる、ということです。アップグレードしたから別扱いになる、とは書かれていません。

譲渡するときの条件も2つ書かれています。「お客様は、本ソフトウェア、およびデバイスと共に提供された場合は、プロダクトキーを含む正規の Windows ラベルを含めて譲渡しなければなりません。」そして「許諾された譲渡を行う前に、本ソフトウェアの譲受者は本ライセンス条項が譲渡および本ソフトウェアの使用に適用されることに同意しなければなりません。」中古PCを譲る側・受け取る側の双方に関わる条件です。

3. 判断表:取得経路ごとに、条文が何を許諾しているか

第4条のaとbを、購入・買い替えの場面に当てはめて並べます。各行の根拠は同じ第4条の文言です。条文に書かれていない事柄は「条文に記載なし」としています。

表は横にスクロールできます →

3. 判断表:取得経路ごとに、条文が何を許諾しているか
取得経路自分の別のPCへ移せるか他人へ譲渡できるか条文が付けている条件
デバイスにプレインストールされていた条文は、ライセンスを取得したデバイスと共にのみ譲渡できると規定。ソフトウェア単体で別デバイスへ移すことは許諾に含まれないできる(ただしデバイスと共に)ソフトウェアと、提供されていればプロダクトキーを含む正規のWindowsラベルを含めて譲渡すること。譲受者が本ライセンス条項に同意すること
プレインストール版からアップグレードした同上(括弧書きで同じ扱いと明記)同上同上
スタンドアロンソフトウェアとして取得したできる。「お客様が所有する他のデバイスに本ソフトウェアを移管することができます」条件付きでできる。(i) 自分が最初のライセンスユーザーであり、(ii) 新しいユーザーが本ライセンス条項に同意する場合新しいデバイスに移すときは常に、以前のデバイスから削除すること。デバイス間でライセンスを共有するための譲渡は不可
スタンドアロン版からアップグレードした同上(括弧書きで同じ扱いと明記)同上同上
ドイツ、またはMicrosoftが掲示する国で取得した条文に記載なし(第4条の規定が適用されない)条文に記載なし譲渡および使用権は適用される法令に準拠する必要がある、とのみ規定
ボリュームライセンスこの文書の対象外この文書の対象外ボリュームライセンス契約が適用されると冒頭に明記
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4. 第4条b:スタンドアロンソフトウェアとして取得した場合

bの条文は、aとは明確に違うことを許諾しています。「お客様は、本ソフトウェアをスタンドアロンソフトウェアとして取得した場合 (およびスタンドアロンソフトウェアとして取得した本ソフトウェアからアップグレードした場合)、お客様が所有する他のデバイスに本ソフトウェアを移管することができます。」自分が所有する別のデバイスへの移管が、条件なしで書かれています。

他人のデバイスへ移す場合は条件が付きます。「また、(i) お客様が本ソフトウェアの最初のライセンスユーザーであり、また、(ii) 新しいユーザーが本ライセンス条項の条件に同意すれば、本ソフトウェアをそのユーザーが所有するデバイスに移管できます。」英語版は「if (i) you are the first licensed user of the software and (ii) the new user agrees to the terms of this agreement.」です。最初のライセンスユーザーであること、という条件は、いわゆる転々流通を想定していない書き方になっています。

そして、いちばん実務的な条件がこの2文です。「新しいデバイスに本ソフトウェアを移転するときは常に、以前のデバイスから本ソフトウェアを削除する必要があります。お客様は、デバイス間でライセンスを共有するために本ソフトウェアを譲渡することはできません。」英語版は「Every time you transfer the software to a new device, you must remove the software from the prior device. You may not transfer the software to share licenses between devices.」。移せる、は、2台で同時に使える、ではありません。

手段についても記載があります。「お客様は、マイクロソフトがお客様に作成を許可するバックアップ用の複製または本ソフトウェアが収録されていたメディアを使用して、本ソフトウェアを譲渡することができます。」バックアップ用の複製を1つ作れることは第2条に書かれており、その複製を移管に使える、という対応関係です。

5. ライセンス認証が通ることは、何を証明しないのか

実際の場面では、「移して認証が通ったのだから問題ない」という判断をしがちです。条文はその読み方を否定しています。第5条は「Successful activation does not confirm that the software is genuine or properly licensed.」(日本語版「ライセンス認証が正常に行われても、本ソフトウェアが正規のものであること、または適切にライセンスされていることは確認されていません。」)と書いています。認証の成否は、ライセンス条件を満たしているかどうかの判定ではありません。

同じ第5条には、部品交換に関する言及もあります。ライセンス認証、または「デバイスのコンポーネントの変更により発生する場合がある再ライセンス認証」の途中で、インストールされたインスタンスが偽造・不正ライセンス・無許可の変更を含むと判断される場合がある、という記述です。自作PCのパーツ交換で再認証が走ることがある、という事実はここから読み取れます。ただし、どの部品をどれだけ替えると再認証になるのか、という基準は条文には書かれていません。当サイトは基準を推測しません。

なお、この文書には譲渡とは別に、第7条bとしてダウングレードの権利が定められています。製造業者またはインストール業者から Professional 版のWindowsがプレインストールされたデバイスを取得し、フル機能モードで動作するよう構成されている場合に、以前のバージョンの Windows Professional の同等エディションにダウングレードできる、という規定です。ただし、Microsoftがその以前のバージョンをサポートしている期間内であること、およびそのハードウェア上でサポートしていること、という条件が付いています。買い替えではなく、いま手元にある機器の選択肢として関係します。

最後に、この記事が答えないことです。第一に、特定のプロダクトキーや販売形態が「OEM版」なのか「パッケージ版」なのかを、外形から判定する方法は示しません。条文は取得経路で区別しており、店頭の表示や商品名との対応は文書に書かれていないためです。第二に、実際の認証の挙動や、サポート窓口での扱いについては、当サイトは検証していません。第三に、中古PCを買う側の確認については、当サイトの中古ビジネスPCの記事が、ライセンス認証の状態が何を証明するかという角度から別途扱っています。

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注意点・利用条件

  • この記事が読んだのは、Microsoftが公開するWindows 11ライセンス条項のうちOEM(プレインストール)区分の文書(英語版・日本語版、いずれも最終更新2024年4月)です。エディションや取得経路によって適用される文書が異なる場合があります。自分に適用される文書を確認してください。
  • 第4条は、ドイツおよびMicrosoftが https://aka.ms/transfer に掲示する国で取得した場合には適用されないと明記しています。その場合、譲渡と使用権は適用される法令に準拠する必要があるとのみ書かれています。
  • ボリュームライセンスの利用には、この契約ではなくボリュームライセンス契約が適用されると冒頭に明記されています。会社支給の端末はこの記事の範囲外です。
  • スタンドアロンの場合でも、新しいデバイスに移すたびに以前のデバイスから削除する必要があり、デバイス間でライセンスを共有するための譲渡はできないと明記されています。
  • ライセンス認証が通ることは、正規であることや適切にライセンスされていることの確認にはならないと条文が明記しています。認証の成否を判断材料にしないでください。
  • どの部品をどれだけ交換すると再ライセンス認証になるのか、という基準は条文に書かれていません。この記事は基準を示しません。また、当サイトは実機での認証挙動を検証していません。

よくある質問

PCに最初から入っていたWindowsを、新しく組んだPCで使えますか。

第4条aは、デバイスにプレインストールされていた場合について、「ライセンスを取得したデバイスと共にのみ」他のユーザーへ直接譲渡できると規定しています。英語版は only with the licensed device です。ソフトウェアだけを切り離して別のデバイスで使う形は、この条項の許諾に含まれていません。なお、プレインストール版からアップグレードした場合も同じ扱いだと括弧書きで明記されています。

単体で買ったWindowsなら、別のPCに移せますか。

第4条bは、スタンドアロンソフトウェアとして取得した場合について、自分が所有する他のデバイスへ移管できると規定しています。ただし条件が2つあります。新しいデバイスに移すときは常に以前のデバイスから削除すること、そしてデバイス間でライセンスを共有するための譲渡はできないことです。他人が所有するデバイスへ移す場合は、さらに、自分が最初のライセンスユーザーであることと、新しいユーザーが本ライセンス条項に同意することが条件になります。

中古PCを譲り受けるとき、何を一緒に受け取るべきですか。

第4条aは、譲渡にあたって「本ソフトウェア、およびデバイスと共に提供された場合は、プロダクトキーを含む正規の Windows ラベルを含めて譲渡しなければなりません」と規定しています。また、譲渡の前に譲受者が本ライセンス条項に同意しなければならない、とも書かれています。買う側の実務的な確認としては、当サイトの中古ビジネスPCの記事も参照してください。そちらは、ライセンス認証の状態が何を証明し、何を証明しないかを扱っています。

移したあとに認証が通れば、条件を満たしていると考えてよいですか。

いいえ。第5条は「Successful activation does not confirm that the software is genuine or properly licensed.」(日本語版では、ライセンス認証が正常に行われても、正規であることや適切にライセンスされていることは確認されていない、という記述)と明記しています。認証はライセンス条件の判定ではありません。条件を満たしているかどうかは、取得経路と第4条の規定で判断することになります。

パーツを交換すると、ライセンスはどうなりますか。

第5条には、ライセンス認証、または「デバイスのコンポーネントの変更により発生する場合がある再ライセンス認証」という記述があり、部品の変更によって再認証が起きる場合があることは条文から読み取れます。ただし、どの部品をどれだけ替えると再認証になるのか、あるいは別のデバイスとみなされるのか、という基準は条文に書かれていません。当サイトは、書かれていない基準を推測して示すことはしません。

出典・確認日

情報確認日:。仕様・操作方法・価格などの確認に使用した出典を掲載しています。適用条件や現在の情報は各リンク先で確認してください。

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