電源の「Gold」は2種類ある:80 PLUSとCybeneticsが測っているもの、測っていないもの
PC電源の製品名には Gold や Platinum が付きます。これは効率認証の等級ですが、等級の名前が同じでも、どの団体のどの基準かによって中身が違います。80 PLUSは指定された負荷率(5%・10%・20%・50%・100%)での変換効率と力率を対象とするプログラムで、入力電圧の区分ごとに別の表が用意されています。Cybeneticsは別の団体で、効率のETAと騒音のLAMBDAという2つの認証を分けて運用しており、ETAの等級は1450通りを超える負荷の組み合わせから算出した総合効率で決まります。つまり「Cybenetics GOLD」と「80 PLUS Gold」は別の基準です。この記事は2026-09-20に両者の基準ページを読み、等級表、対象外になっている性質、そして自分の電気代の差を自分で計算するための式を整理します。当サイトは電源を実測しておらず、製品の順位付けも価格の提示も行いません。
公開 · 更新 · FaultNote 編集方針
この記事が役立つ人・作業前の準備
- 電源のBronzeとGoldで迷っていて、等級が何を保証しているのか知りたい人
- 「Cybenetics Gold」「ETA-A」などの見慣れない表示の意味を確認したい人
- 静音性を理由に高い等級の電源を選ぼうとしている人
用意するもの
- 候補の電源の正確な型番と、箱やメーカーページに書かれている認証表示(団体名と等級)を控える
- 自分のPCのおおよその消費電力の見当を付ける(構成部品の公表値の合計でよい。当サイトは実測値を提供しません)
- 契約している電力会社の従量料金(円/kWh)を、検針票か契約内容のページで確認する
1. 80 PLUSが対象にしているのは効率と力率だけ
80 PLUSはCLEAResultが運営する、内蔵電源ユニット向けの性能仕様および認証プログラムです。プログラム紹介ページには 80 PLUS ® is a performance specification and certification program for internal power supply units (PSUs). と書かれ、要求内容は Its performance specification requires power supplies in computers and servers to be 80% energy efficient or greater at 10%, 20%, 50% and 100% of rated load with a true power factor of 0.9 or higher. と説明されています(訳は当サイトによるもので、原文は英語です)。定格負荷に対する割合ごとの効率と、真の力率が対象である、ということです。
ここから直接言えるのは、等級が上がるほど同じ出力を得るために入力する電力が少ない、ということだけです。静音性、寿命、故障率、保護回路の品質は、この仕様が対象にしている量ではありません。
認証には費用がかかることも同じページに書かれています。Depending on the product, the price for testing and certification can range from $3,500 to $8,000 USD. 製品によって3,500〜8,000米ドルの幅がある、という記載です。安価な電源に認証表示がないことがある理由の一端はここにありますが、無認証であることが直ちに低効率や低品質を意味するわけではありません。ここは当サイトが検証できない領域なので、断定しません。
2. 等級表は入力電圧の区分ごとに別である(そして日本の100Vは区分にない)
80 PLUSのプログラムページには、認証の区分として 115V Internal desktop、230V EU Internal desktop、115V Industrial、230V Internal Redundant AC data center が挙げられています。2026-09-20に等級ページを読んだ時点で、家庭用デスクトップに関係するのは前の2つです。
ここは日本の読者にとって重要な観察です。公表されている入力電圧の区分は115Vと230V(およびデータセンター向け)であり、日本の一般的な100Vという区分は、読んだページのどこにも現れません。したがって当サイトは、日本の100V環境で表のどの数値が出るかについて、何も述べません。100Vでは効率が下がる・上がるといった推測も行いません。分かっているのは、認証が公表しているのは115Vと230V EUの条件での値である、ということだけです。
下の表は、デスクトップ・ワークステーション向け(非冗長)の等級基準です。2026-09-20に読んだ等級ページの値をそのまま写しています。
表は横にスクロールできます →
| 等級 | 115V 内蔵・非冗長:10%/20%/50%/100%負荷 | 230V EU 内蔵・非冗長:10%/20%/50%/100%負荷 |
|---|---|---|
| 80 PLUS Standard | -/80%/80%/80% | -/82%/85%/82% |
| 80 PLUS Bronze | -/82%/85%/82% | -/85%/88%/85% |
| 80 PLUS Silver | -/85%/88%/85% | -/87%/90%/87% |
| 80 PLUS Gold | -/87%/90%/87% | -/90%/92%/89% |
| 80 PLUS Platinum | -/90%/92%/89% | -/92%/94%/90% |
| 80 PLUS Titanium | 90%/92%/94%/90% | 90%/93%/95%/91% |
| 80 PLUS Ruby(5%負荷の基準もある) | 5%で85%、以降 91%/93%/95%/91% | 5%で85%、以降 91%/94%/96%/92% |
3. 読んだページで食い違っていた点を、そのまま記録する
同じ等級ページの中に、同じ表が2つの体裁で置かれています。横並びの表と、項目を縦に積んだ一覧です。効率の百分率はどちらも一致していました。一致しなかったのは力率(PFC)の値です。
例えば115VのGoldは、横並びの表では50%負荷の欄に PFC ≥ 0.90 が添えられ、縦積みの一覧では同じ50%負荷の欄に PFC ≥ 0.95 と表示されています。BronzeとSilverでも同じ食い違いが見られました。PlatinumとTitaniumとRubyはどちらの体裁でも PFC ≥ 0.95 です。
どちらが正しいかを当サイトは判定できません。したがってこの記事は、BronzeからGoldまでの力率について具体的な数値を採用せず、確認が必要な場合は同ページが案内している 80 PLUS ® Certification Rating Chart を参照するよう勧めます。もう1点、プログラム詳細ページの要約文は 10%, 20%, 50% and 100% of rated load を挙げていますが、115VのStandard等級の表では10%負荷の欄が「-」です。等級ごとに測定する負荷点が違うということで、要約文と表のどちらかが間違っているという意味ではありません。
購入判断への影響は限定的です。等級の比較に実際に使うのは効率の百分率で、そこは両方の体裁で一致していました。
4. Cybeneticsは別の団体で、効率と騒音を別の認証に分けている
電源の箱や製品ページに、80 PLUSとは別に Cybenetics の表示が付いていることがあります。同社のページには Cybenetics runs voluntary certification programs for power supplies - ETA for efficiency, LAMBDA for noise and SAFE for safety and correct operation と書かれています。効率がETA、騒音がLAMBDA、安全と正常動作がSAFEという、別々の認証です。任意(voluntary)のプログラムであることも明記されています。
ETAの測り方は80 PLUSと異なります。同社の説明には、DUT(被試験機)に1450通りを超える負荷の組み合わせを適用し、結果の補間によって最大25,000点の測定点を得る計画であること、5VSBレール無負荷時の消費電力(vampire power)を重視すること、5VSBレールの効率も0.05 Aごとに測って平均を取ることが書かれています。等級は、この総合効率の範囲で決まります。
したがって同じ「GOLD」でも、80 PLUS GoldとCybenetics GOLDは別の基準です。下の表はCybeneticsのETA(115V入力)とLAMBDAの等級区分で、2026-09-20に同社ページで読んだ値です。
LAMBDAは騒音の等級です。ここが実用上大きい違いで、80 PLUSには騒音の等級がありません。静音性を理由に電源を選ぶなら、80 PLUSの等級ではなくLAMBDAの等級(あるいはメーカーが公表する騒音値)を見ることになります。ただし当サイトは騒音を実測しておらず、等級と体感の静かさの関係についても何も述べません。
表は横にスクロールできます →
| Cybenetics ETA(115V入力)の等級 | 総合効率の条件 | 力率(PF) | 5VSB効率 | Vampire Power |
|---|---|---|---|---|
| DIAMOND | ≥93% | ≥0.985 | >79% | <0.10W |
| TITANIUM | ≥91% かつ <93% | ≥0.980 | >77% | <0.13W |
| PLATINUM | ≥89% かつ <91% | ≥0.975 | >76% | <0.16W |
| GOLD | ≥87% かつ <89% | ≥0.970 | >75% | <0.19W |
| SILVER | ≥85% かつ <87% | 同ページに記載(本記事では上位4等級のみ表に採用) | 同上 | 同上 |
5. LAMBDAの騒音等級と、等級から自分の電気代差を出す式
LAMBDAの等級は平均騒音で区切られています。A++ は <15 dB(A)、A+ は ≥15 dB(A) かつ <20 dB(A)、A は ≥20 dB(A) かつ <25 dB(A)、A- は ≥25 dB(A) かつ <30 dB(A)、Standard++ は ≥30 dB(A) かつ <35 dB(A)、Standard+ は ≥35 dB(A) かつ <40 dB(A)、Standard は ≥40 dB(A) かつ <45 dB(A) です。同社は、効率測定と同じ条件が騒音測定にも適用されると述べています。
効率の等級差が電気代にどう効くかは、自分で計算できます。当サイトは料金単価を提示しませんし、金額の例も示しません。次の式に、自分の契約単価と自分の使い方を入れてください。
1年あたりの差額(円)= PCの出力側消費電力(W)×(1÷効率A − 1÷効率B)÷ 1000 × 1日の稼働時間(h)× 365 ×(電力量料金 円/kWh)。効率AとBには、比較する2つの等級の「自分の負荷率に対応する欄」の値を入れます。ここが要点です。表の値は負荷率ごとに違うので、50%負荷の値だけで比較すると、実際にはほとんどの時間を低い負荷で過ごすPCの差を見誤ります。
この式が示すのは電気代の差だけです。購入価格の差を何年で取り戻せるか、という比較をしたい場合は、候補2機種の実売価格を自分で調べて差額に当ててください。当サイトはこの記事で価格を一切扱いません。
表は横にスクロールできます →
| 確かめたいこと | 見るべき表示 | この記事で扱える範囲 |
|---|---|---|
| 同じ出力での消費電力の少なさ | 80 PLUSの等級(入力電圧区分に注意)、またはCybenetics ETAの等級 | 基準値の比較まで。実機の測定値は当サイトにない |
| 静かさ | Cybenetics LAMBDAの等級、またはメーカー公表の騒音値 | 等級の区切り(dB(A))まで。体感の評価はしない |
| 待機時の無駄 | Cybenetics ETAの Vampire Power の欄 | 等級ごとの上限値まで |
| 寿命・保護回路・故障率 | どちらの効率認証も対象にしていない | 保証期間とメーカーの仕様書を各自で確認 |
| 安全性・正常動作 | CybeneticsのSAFEは別立ての認証 | この記事では基準を読み込んでいない |
注意点・利用条件
- 当サイトは電源を実測していません。この記事に測定値、製品の順位、推奨機種はありません。
- 80 PLUSが公表している入力電圧の区分は115Vと230V EU(およびデータセンター・産業用)です。日本の100V環境での値は公表されておらず、当サイトも推測しません。
- 80 PLUSの等級ページ内で、同じ表の2つの体裁の間で力率(PFC)の値が食い違っていました。この記事はBronze〜Goldの力率について数値を採用していません。
- 「Gold」という語だけでは基準が特定できません。80 PLUS GoldとCybenetics GOLDは別の団体の別の基準です。製品表示を見るときは団体名まで確認してください。
- 効率認証は静音性・寿命・故障率・保護回路を対象にしていません。Cybeneticsは騒音をLAMBDA、安全をSAFEとして別の認証に分けています。
- 認証は任意のプログラムです。表示がないことが品質の低さを意味するとは、読んだ出典のどこにも書かれていません。
よくある質問
BronzeとGold、どちらを買うべきですか。
この記事は製品を推奨しません。判断材料としては、115V内蔵・非冗長の基準で20%負荷の要求効率がBronze 82%に対してGold 87%、50%負荷が85%に対して90%、100%負荷が82%に対して87%です。その差が自分の電気代でいくらになるかは、記事中の式に自分の稼働時間と契約単価を入れて計算してください。価格差を何年で回収できるかは、候補2機種の実売価格を自分で調べて比べる話です。
Goldなら静かですか。
80 PLUSの基準は効率と力率を対象にしており、騒音の等級はありません。静音性を基準に選ぶなら、Cybeneticsの騒音認証LAMBDAの等級(A++は<15 dB(A)、Aは≥20かつ<25 dB(A) など)か、メーカーが公表する騒音値を見ることになります。当サイトは騒音を実測していません。
日本は100Vですが、115Vの表をそのまま読んでよいですか。
読んだページに100Vの区分はありません。公表されているのは115Vと230V EU、および産業用・データセンター向けの区分です。したがって当サイトは、100V環境で表の数値が出るとも出ないとも述べません。等級間の相対的な差を比較の手がかりにするにとどめ、絶対値を自分の環境の実測値として扱わないのが安全です。
認証表示のない電源は避けるべきですか。
読んだ出典にそのような記載はありません。分かっているのは、認証が任意であること、そして製品によって3,500〜8,000米ドルの試験・認証費用がかかるとCLEAResultが公表していることです。そこから「無認証=低品質」を導くことはできません。保証期間、出力仕様、メーカーのサポート情報を個別に確認してください。
ETAとLAMBDAの両方が付いている製品があります。どちらを見ればよいですか。
目的で分かれます。消費電力の少なさならETA、静かさならLAMBDAです。ETAの等級は1450通りを超える負荷の組み合わせから算出した総合効率の範囲で決まると同社が説明しており、80 PLUSのように指定された数点の負荷での判定とは方法が異なります。同じ名前の等級を横に並べて比べないでください。
出典・確認日
情報確認日:。仕様・操作方法・価格などの確認に使用した出典を掲載しています。適用条件や現在の情報は各リンク先で確認してください。
- CLEAResult:80 PLUS プログラム詳細ページ。プログラムの定義、「80% energy efficient or greater at 10%, 20%, 50% and 100% of rated load with a true power factor of 0.9 or higher」という仕様の要約、認証区分(115V Internal desktop/230V EU Internal desktop/115V Industrial/230V Internal Redundant AC data center)、および試験・認証費用が3,500〜8,000米ドルであるという記載。2026-09-20閲覧 ↗
- CLEAResult:80 PLUS の等級の説明ページ。デスクトップ・ワークステーション・非冗長サーバー向けの115Vおよび230V EUの等級表(Standard/Bronze/Silver/Gold/Platinum/Titanium/Ruby)。同一ページ内の2つの体裁の間で力率(PFC)の値に食い違いがあることも、このページ上で確認。2026-09-20閲覧 ↗
- Cybenetics:ETA(効率)認証ページ。1450通りを超える負荷の組み合わせと補間による最大25,000点の測定点、vampire power と5VSB効率の扱い、および115V入力の等級表(DIAMOND/TITANIUM/PLATINUM/GOLD/SILVER の総合効率、PF、5VSB効率、Vampire Power)。2026-09-20閲覧 ↗
- Cybenetics:LAMBDA(騒音)認証ページ。平均騒音による等級区分(A++:<15 dB(A)、A+:≥15かつ<20、A:≥20かつ<25、A-:≥25かつ<30、Standard++:≥30かつ<35、Standard+:≥35かつ<40、Standard:≥40かつ<45 dB(A))と、効率測定と同じ条件が騒音測定にも適用される旨の記載。2026-09-20閲覧 ↗
- Cybenetics:認証スキームのページ。ETA(効率)、LAMBDA(騒音)、SAFE(安全と正常動作)、DELTA(筐体)という任意の認証プログラムの区分に関する記載。2026-09-20閲覧 ↗