新しいCPUに載せ替える前に:CPUなしでBIOSを更新できるボタンの有無を仕様で確かめる
同じソケットのままCPUだけを新しい世代に載せ替えると、電源は入るのに画面が出ないことがあります。原因がマザーボードのBIOSの版である場合、更新すれば解決しますが、更新の手順はふつう起動できることを前提にしています。新しいCPUでは起動できず、古いCPUはもう手元にない、という循環がここで生まれます。ASUSとMSIは、この循環を断つ仕組みを一部の機種にだけ用意しています。CPUを載せない状態でUSBメモリからBIOSを書き込むボタンです。この記事は2026-09-21に両社のサポート文書と製品仕様ページを読み、対応の有無をどこで見分けるか、2社で何が違うか、そして実際の4機種で結果がどう分かれたかを整理します。
公開 · 更新 · FaultNote 編集方針
この記事が役立つ人・作業前の準備
- 手持ちのマザーボードを残して、新しい世代のCPUだけを買おうとしている人
- これからマザーボードを買う人で、あとからCPUを載せ替える可能性がある人
- 新しいCPUに替えたら画面が出なくなり、原因の切り分けをしている人
用意するもの
- マザーボードの正確な型番を控える(同じシリーズでも機種ごとに仕様が異なります)
- 買おうとしているCPUが、メーカーの対応CPU一覧でどのBIOS版から対応と書かれているかを確認する
- いま起動できる状態かどうかを確認する(起動できるなら、通常の更新手順が使えます)
1. なぜ循環が起きるのか
ASUSのFAQは、この状況をそのまま質問として載せています。The newly purchased CPU can't power on, confirm the support list in ASUS official website indicates that need to update, how to deal with it? 新しく買ったCPUで電源が入らず、公式サイトの対応一覧を見ると更新が必要と書かれている、という状況です。(原文は英語、訳は当サイトによるものです)
回答は3つの方法を挙げています。1つ目は If you have the old CPU that is listed in support list in ASUS official website and can power on, please update BIOS to the latest version and use new CPU、つまり対応一覧に載っている古いCPUで起動して更新してから載せ替える方法です。古いCPUを手放していると、この道は使えません。
2つ目が本記事の主題です。Please confirm whether your motherboard support USB BIOS FlashBack. If support, you can use USB BIOS FlashBack to update BIOS under the shutdown status と書かれています。対応しているかをまず確認せよ、という順序になっている点が重要です。
3つ目は If you can't update BIOS by above two methods, please contack ASUS service center for update service で、サービスセンターへの依頼です。文中の綴りは出典のままです。時間と送料がかかる道であり、これを避けられるかどうかが、購入時の判断材料になります。
2. 「一部の機種だけ」と両社が明記している
この機能は、マザーボードに載っていれば使え、載っていなければ使えません。ソフトウェアの設定で有効にできる類のものではなく、物理的なボタンと専用のUSBポートを必要とします。
ASUSは更新方法を2つに分けたうえで、2つ目にこう添えています。Update BIOS under the Shutdown or uninstall CPU status (USB BIOS FlashBack), it's only applicable to some models. 一部の機種にのみ適用される、と明記されています。
MSIも同じ趣旨を2か所で書いています。冒頭は you may need to refresh the motherboard BIOS using the Flash BIOS Button without a CPU and RAM で、CPUとメモリなしでの書き込みだと説明しています。そのうえで This feature is only available on models with the Flash BIOS Button. と書き、さらに Not every model supports this feature. You can check on the official website or look for markings on the motherboard と続けます。
見分け方も両社が書いています。ASUSは You can check the official website product specifications or user manual instructions.、MSIは公式サイトかボード上の刻印です。つまり、確認先は製品ページの仕様欄です。次の節で実際に4機種を読みます。
3. 4機種の仕様欄を読んだ結果
2026-09-21に、ASUS 2機種とMSI 2機種の製品仕様ページを読み、背面インターフェイスの一覧に該当のボタンが挙げられているかを確認しました。価格帯もチップセットの世代も近い構成ですが、結果は分かれました。
分かれたのはMSIの2機種です。PRO B650M-A WIFIの背面インターフェイス一覧には Flash BIOS Button が挙げられています。一方、PRO B860M-A WIFIの同じ欄には Clear CMOS Button が挙げられており、Flash BIOS Buttonの記載はありません。名前が似ていますが、CMOSクリアは設定を初期値へ戻すボタンで、BIOSそのものを書き換えるものではありません。
新しい世代の製品だから付いている、上位の型番だから付いている、という読み方はできない、というのがこの4機種から言えることです。機種ごとに仕様欄を読む以外に方法はありません。
なお、この結果はあくまで当サイトが2026-09-21に読んだ仕様ページの記載です。当サイトは実機を確認していません。MSIが書いているとおり、ボード上の刻印でも確認できます。
表は横にスクロールできます →
| 機種 | 仕様欄の記載 | CPUなしでの更新 | 確認した欄 |
|---|---|---|---|
| ASUS PRIME B650M-A II | BIOS FlashBack button | 記載あり | 背面インターフェイス、およびEZ DIYの項目 |
| ASUS TUF GAMING B850M-PLUS WIFI | BIOS FlashBack button | 記載あり | 背面インターフェイス、およびEZ DIYの項目 |
| MSI PRO B650M-A WIFI | Flash BIOS Button | 記載あり | 背面インターフェイス |
| MSI PRO B860M-A WIFI | Clear CMOS Button のみ | 仕様欄に記載なし | 背面インターフェイス |
4. 対応していた場合、2社で準備が違う
同じ目的の機能ですが、USBメモリの作り方も、通電のしかたも、ボタンの押し方も異なります。片方の手順をもう片方に当てはめると失敗します。
ASUSは、USBメモリについて Prepare a USB flash drive with a capacity of 1GB or more. と書き、さらに Requires a single sector USB flash drive in FAT16 / 32 MBR format. と条件を付けています。ファイルは Extract the compressed BIOS file, which contains a BIOS file (.CAP) and a BIOS rename tool (BIOSRenamer). とあり、同梱の改名ツールで名前を付ける形です。通電については Please shut down before using the USB BIOS FlashBack tool, but do not remove the power. と書かれています。
MSIは Prepare a USB flash drive and format it to FAT32 format. と書き、ファイル名は Rename the unzipped BIOS file to "MSI.ROM" and click "Yes". Copy the renamed file to your prepared USB flash drive. と指定されています。通電は Connect the CPU power to the CPU_PWR1 position. と Connect the 24-pin power connector to the motherboard. の2本で、差し込み先は Insert the USB flash drive containing the MSI.ROM file into the USB port labeled "BIOS" on the rear I/O panel. と指定されています。
押し方も違います。ASUSは Press the BIOS FlashBack button for three seconds until the FlashBack LED blinks three times, indicating that the BIOS FlashBack function is enabled. と、3秒の長押しと3回の点滅を条件にしています。MSIは押すとランプが点滅し、消灯で完了、と説明しています。
所要時間についてASUSは The BIOS file size will affect the update time. It can be completed in 8 minutes. と書いています。数分で終わらないからといって、途中で電源を切る理由にはならない、ということです。
表は横にスクロールできます →
| 項目 | ASUS(USB BIOS FlashBack) | MSI(Flash BIOS Button) |
|---|---|---|
| USBメモリの容量 | 1GB以上 | 記載なし |
| フォーマット | FAT16 / 32、MBR、単一パーティション | FAT32 |
| ファイル名 | 同梱のBIOSRenamerで自動的に付ける(.CAPファイル) | MSI.ROM に手で改名する |
| 通電 | シャットダウンしてから、電源は抜かない | CPU_PWR1と24ピンを接続 |
| CPU・メモリ | CPUを取り外した状態でも可(出典は uninstall CPU status と表記) | CPUとメモリなしで可と明記 |
| ボタン操作 | 3秒の長押し、LEDが3回点滅 | 押すとランプが点滅、消灯で完了 |
| 差し込むポート | FlashBack用のポート(機種のマニュアル参照) | 背面の BIOS と表示されたポート |
5. 更新そのものに付く条件
ボタンがあっても、更新には共通の注意があります。ASUSは Updating BIOS may have the risk of not booting up. Please back up your data first before updating the BIOS. と、起動しなくなる可能性を明記しています。
実行中の操作についてもASUSは Please do not remove the USB flash drive, unplug the power supply, turn on the power or press the CLR_CMOS button during the execution. と書いています。MSIも Do not power off or shut down during the BIOS refresh process, as this may cause damage to the BIOS chip. と、BIOSチップの損傷に触れています。
版の飛ばし方についてASUSは Without any special Reason, no need to update each version, just update to the latest version. として、1版ずつ上げる必要はないとしています。ただし同じ箇所に Before updating BIOS into the latest one, there is a special Version BIOS that must be updated into on some Models. とあり、機種によっては先に入れるべき特定の版がある、と但し書きが付きます。最新版を入れる前に、機種のダウンロードページの説明を読む理由がここにあります。
さらにASUSは、Intelの800シリーズについて、FlashBackでの更新後もMEファームウェアの更新が必要かという質問にこう答えています。Yes, because FlashBack uses CAP files to update, you need to download the ME firmware update. ボタンを押せば終わり、とは限らないということです。この点は機種のダウンロードページで確認してください。
06. 買う前に決めておくこと
1つ目は、そのマザーボードでCPUを載せ替える可能性があるかどうかです。同じソケットが長く使われる構成ほど、あとから世代の新しいCPUに替える場面が来ます。そのときにこのボタンの有無が効きます。
2つ目は、古いCPUを残すかどうかです。ASUSの1つ目の方法は、対応一覧に載っている古いCPUで起動できることが前提です。売却や下取りに出す前に、ボタンの有無を確認しておくと選択肢が減りません。
3つ目は、購入時にBIOSの版を確認できるかどうかです。店頭在庫や中古では、箱の外から版を知ることはできません。ボタンがある機種なら、版が古くても自力で回復できます。
4つ目は、当サイトが確認できない部分です。個々の製品が対応しているかは、必ず現在の製品ページで確かめてください。この記事の4機種の結果は、2026-09-21時点の記載です。
07. この記事が述べないこと
特定のCPUがどのBIOS版から対応するかは述べません。対応一覧は機種ごとに公開されており、版数も随時変わるためです。
更新に失敗した場合の復旧手順は述べません。ASUSもMSIも、失敗時はサポート窓口へ、という案内です。当サイトは実機での再現試験をしていません。
ASRockやGIGABYTEなど他社の同種の機能は扱いません。今回読んだのはASUSとMSIの文書と製品ページのみで、他社の仕様を推定しないためです。
ボタンがない機種は買うべきでない、とも書きません。載せ替えを想定しない使い方なら、この条件は判断に入りません。
0注意点・利用条件
- 対応の有無は機種ごとです。今回読んだ4機種では、MSI PRO B860M-A WIFIの背面インターフェイス欄にFlash BIOS Buttonの記載がなく、Clear CMOS Buttonが挙げられていました。名前が似ていますが役割は異なります。
- ASUSとMSIで、USBメモリのフォーマット、ファイル名、通電方法、ボタン操作がいずれも異なります。片方の手順を流用しないでください。
- BIOS更新には起動しなくなる可能性があると出典が明記しています。実行前のバックアップと、実行中に電源を切らないことが共通の条件です。
- 当サイトは実機での更新を検証していません。記載はすべて2026-09-21に閲覧した各社の文書と製品ページによるものです。
よくある質問
新しいCPUに替えたら電源は入るのに画面が出ません。BIOSの問題でしょうか。
その可能性があります。ASUSのFAQは、新しく買ったCPUで電源が入らず対応一覧が更新を求めている場合として、この状況を挙げています。まず購入したCPUが、その機種のどのBIOS版から対応と書かれているかを確認してください。
古いCPUを手放してしまいました。もう更新できませんか。
マザーボードがCPUなしでの更新に対応していれば可能です。ASUSはFlashBackへの対応を確認するよう案内し、MSIはFlash BIOS Buttonのある機種のみと明記しています。どちらも対応していない場合、出典が案内しているのはサービスセンターへの依頼です。
対応しているかは、どこを見れば分かりますか。
製品ページの仕様欄、特に背面インターフェイスの一覧です。ASUSはBIOS FlashBack button、MSIはFlash BIOS Buttonという表記で挙げています。MSIはボード上の刻印でも確認できると書いています。
Clear CMOSのボタンがあれば同じことができますか。
できません。CMOSクリアはBIOSの設定を初期値へ戻す操作で、BIOS自体を新しい版に書き換えるものではありません。今回読んだMSI PRO B860M-A WIFIの仕様欄には、Clear CMOS Buttonだけが挙げられていました。
最新版まで、1版ずつ上げる必要はありますか。
ASUSは、特別な理由がなければ各版を順に上げる必要はなく最新版へ更新すればよい、としています。ただし機種によっては先に入れるべき特定の版がある、とも書かれているため、機種のダウンロードページの説明を先に読んでください。
出典・確認日
情報確認日:。仕様・操作方法・価格などの確認に使用した出典を掲載しています。適用条件や現在の情報は各リンク先で確認してください。
- ASUS:[Motherboard] How to update BIOS of the motherboard ?(Include different generation CPU)。更新方法が2つあり、2つ目について Update BIOS under the Shutdown or uninstall CPU status (USB BIOS FlashBack), it's only applicable to some models. と記載。注意事項に Updating BIOS may have the risk of not booting up. Please back up your data first before updating the BIOS.。新しく買ったCPUで電源が入らない場合の3つの方法(古いCPUでの更新、USB BIOS FlashBack、サービスセンター)および版を飛ばす可否についての記載。2026-09-21閲覧 ↗
- ASUS:[Motherboard] How to use USB BIOS FlashBack?。USBメモリの条件(1GB以上、FAT16 / 32 MBR、単一パーティション)、.CAPファイルとBIOSRenamer、シャットダウン後も電源を抜かないこと、3秒の長押しとLEDの3回点滅、実行中に抜かない・電源を落とさない旨、8分以内に完了しうる旨、対応機種の確認先、およびIntel 800シリーズでのMEファームウェア更新についての記載。2026-09-21閲覧 ↗
- MSI:[Motherboard] How to Refresh BIOS via Flash BIOS Button?。CPUとメモリなしで書き込める旨、Flash BIOS Buttonのある機種のみで使える旨、公式サイトまたはボード上の刻印で確認する旨、FAT32とMSI.ROMへの改名、CPU_PWR1と24ピンの接続、背面のBIOSと表示されたポート、および実行中に電源を切らない旨の記載。2026-09-21閲覧 ↗
- ASUS:PRIME B650M-A II Tech Specs。背面インターフェイス欄およびEZ DIYの項目に BIOS FlashBack button の記載。2026-09-21閲覧 ↗
- ASUS:TUF GAMING B850M-PLUS WIFI Tech Specs。背面インターフェイス欄およびEZ DIYの項目に BIOS FlashBack button の記載。2026-09-21閲覧 ↗
- MSI:PRO B650M-A WIFI Specification。背面インターフェイス欄に Flash BIOS Button の記載。2026-09-21閲覧 ↗
- MSI:PRO B860M-A WIFI Specification。背面インターフェイス欄に Clear CMOS Button の記載があり、Flash BIOS Button の記載はない。2026-09-21閲覧 ↗
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