Copilot+ PCは買う価値があるか:40 TOPS・16GB・256GBという条件と、Snapdragon機でソフトが動くかの確認
店頭で「Copilot+ PC」と書かれたノートPCと、書かれていないノートPCが同じくらいの値段で並んでいる場合、バッジが何を保証しているのかが分かれ目になります。MicrosoftはCopilot+ PCを、Windows 11の最小要件に「加えて」40 TOPS以上のNPU・16GBのDDR5/LPDDR5・256GBのSSD/UFSを満たすものと定義しています。逆に、40 TOPS以上のNPUを積んでいてもメモリが16GB未満なら「Copilot+ PCではありません」と明記されています。さらに、宣伝される機能のいくつかはSnapdragon X シリーズ限定、いくつかは英語のプロンプト向けに最適化、いくつかはMicrosoftアカウントとインターネット接続が必要、Click to Doには一部サブスクリプションが必要です。この記事は条件表と、Armの機種を選ぶ場合の互換性の境界(エミュレーションはユーザーモードのみで、ドライバーは対象外)をまとめます。性能の順位づけや実測値は扱いません。
公開 · 更新 · FaultNote 編集方針
この記事が役立つ人・作業前の準備
- 同じ価格帯のCopilot+ PCと通常のWindows 11 PCで迷っている人
- 「AI PC」と書かれているのにCopilot+ PCではない機種の理由を知りたい人
- Snapdragon搭載機が安いが、いま使っているソフトが動くか不安な人
- Recall(プレビュー)や画像生成機能が目当てで、条件を先に確認したい人
用意するもの
- 候補機のNPUのTOPS値、メモリ容量、ストレージ容量を仕様表から控える(3つそろって初めてCopilot+ PCの条件を満たします)
- CPUがArm(Snapdragon)かx86(Ryzen AI/Core Ultra)かを確認する
- 業務や趣味で必ず使うソフトのうち、アンチチート・VPN・セキュリティソフト・特殊な周辺機器など、ドライバーを伴うものを書き出す
- 使いたい機能が決まっているなら、その機能名をこの記事の条件表で引く
1. 「Copilot+ PC」はマーケティングの言葉ではなく、要件の集合
Microsoftは「Copilot+ PCは、標準のWindows 11 PCより高いハードウェア仕様を備えたWindows 11 AI PCの一区分であり、メモリとストレージの増加、そして毎秒40兆回を超える演算(TOPS)が可能な専用AIプロセッサである強力なニューラル処理ユニット(NPU)を備えた先進のシリコンを含みます」と説明しています。
条件は「Windows 11の最小システム要件に加えて」満たす必要があります。下の表がその3行です。プロセッサの一覧についてMicrosoftは「現時点では次を含みます(This currently includes)」という書き方をしており、時点を限定した記述であることが明示されています。この記事が確認したのは2026年9月20日です。
Microsoft自身が注意書きも付けています。「特定の機能、およびCopilot+ PCに追加するアプリやハードウェアには、追加のハードウェア、ソフトウェア、その他の要件が必要になる場合があり、これらの要件は時間とともに変わる可能性があります」。
表は横にスクロールできます →
| 項目 | Copilot+ PCの最小要件(Microsoftの記載) | 確認場所 |
|---|---|---|
| プロセッサ | 40+ TOPSを実行できるNPUを備えた互換プロセッサまたはSoC。現時点では AMD Ryzen AI 300および400シリーズ、Intel Core Ultra 200Vおよび300Vシリーズ、Snapdragon X シリーズ | 仕様表のCPU名とNPUのTOPS表記 |
| メモリ | 16 GB DDR5/LPDDR5 | 仕様表。多くの薄型機では基板直付けで後から増やせません |
| ストレージ | 256 GB SSD/UFS | 仕様表 |
| 前提 | 上記は Windows 11 の最小システム要件に「加えて」満たすもの | 当サイトの「Windows 10のPC、どうするか」の記事に最小要件の表があります |
2. 「AI PC」なのにCopilot+ PCではない、という機種がある理由
ここがこの記事で一番役に立つ段落かもしれません。Microsoftは「オンデバイスAI」という項目でこう書いています。「一部のWindows 11 PCは、40+ TOPSが可能なNPUを含む先進のシリコンを搭載していますが、Copilot+ PCのハードウェア要件のすべてを満たしてはいません。たとえば、16 GB未満のRAMや、より少ないストレージ構成のデバイスはCopilot+ PCではありません」。
そうした機種が無価値というわけでもありません。同じ段落は「これらのデバイスも引き続きWindows 11の機能に対応し、互換性のあるファーストパーティおよびサードパーティのアプリがデバイス上でローカルにAIワークロードを実行できるようにし、応答性の向上と低遅延をもたらします」と続きます。そのうえで「ただし、改善されたWindows searchやClick to Doのような独自のCopilot+ PC体験を利用するには、上に挙げたCopilot+ PCのハードウェア要件をすべて満たすPCが必要です」としています。
つまりバッジは、NPUの有無だけでなく、メモリとストレージの下限でもあります。これは事実1と2に対する当サイトの言い換えであり、Microsoftがその言葉で述べているわけではありません。
3. 機能ごとに付いている条件を先に見る
Copilot+ PCの機能一覧には、機能ごとに条件が書かれています。買う理由がこの中のどれかであるなら、その行の条件まで読む必要があります。特に、同じCopilot+ PCでもSnapdragon X シリーズ限定の機能が3つあります。
下の表はMicrosoftの一覧から、条件が付いている機能を抜き出したものです。表現はMicrosoftの記載に沿っています。
日本語で使う場合に効くのは言語の行です。Agent in Settings、改善されたWindows search、Recall(プレビュー)には対応言語として日本語が挙がっています。一方、Paint の Cocreator やステッカー生成、Photos の Image creator や Restyle image は「英語のテキストプロンプト向けに最適化」され、加えて「Microsoftアカウントまたは Entra ID とインターネット接続が必要」と書かれています。端末内で動くという印象とは条件が違います。
表は横にスクロールできます →
| 機能 | Microsoftが記載している追加条件 |
|---|---|
| Automatic super resolution | 厳選されたゲームで動作し、Snapdragon X シリーズ搭載のCopilot+ PCで利用可能 |
| Paint: Generative fill | Snapdragon X シリーズ搭載のCopilot+ PC。英語プロンプト向けに最適化、Microsoftアカウントまたは Entra ID とインターネット接続が必要 |
| Photos: Relight | Snapdragon X シリーズ搭載のCopilot+ PCで利用可能 |
| Recall(プレビュー) | Windows Hello Enhanced Sign-in Security が必要。対応言語に日本語を含む。内容とストレージに関する制限あり |
| Click to Do | 利用できる画像・テキストの操作はデバイス、地域、言語、文字セットによって異なる。一部の操作にはサブスクリプションが必要 |
| 改善された Windows search | 特定のテキスト・画像・文書の形式でのみ動作。対応言語に日本語を含む |
| Agent in Settings | Copilot+ PCで提供中。対応言語10種に日本語を含む |
| Paint: Cocreator/ステッカー生成、Photos: Image creator/Restyle image | 英語のテキストプロンプト向けに最適化。Microsoftアカウントまたは Entra ID とインターネット接続が必要 |
| Windows Studio Effects | 対応するカメラが必要。利用できる効果はデバイスによって異なる |
| Paint: Object select/Photos: Super resolution/Snipping Tool: Perfect screenshot | 「Copilot+ PCでのみ利用可能」とだけ記載(追加条件の記載なし) |
4. Arm(Snapdragon)を選ぶ場合の互換性の境界
Copilot+ PCのプロセッサにはx86(Ryzen AI、Core Ultra)とArm(Snapdragon X)の両方があります。Armを選ぶ場合、いま使っているソフトが動くかどうかが最大の論点になります。
Microsoftの説明では「Windows 11 on Armは x86 と x64 の両方のアプリのエミュレーションに対応します」。Windows 10 on Arm は x86 のみです。エミュレーターは24H2で導入された Prism で、「Windows 11 24H2 に含まれる新しいエミュレーター」であり、「以前のエミュレーション技術と比べて、エミュレーション下のアプリの性能を改善しCPU使用率を下げる大幅な最適化を含みます」と書かれています。
Prism は「Qualcomm Snapdragon プロセッサ向けに最適化・調整されて」おり、「Prism 内の一部の性能機能は Snapdragon X シリーズでのみ利用可能なハードウェア機能を必要としますが、Prism 自体は Windows 11 24H2 を実行するすべてのサポート対象の Windows 11 on Arm デバイスで利用できます」とされています。
境界はここです。「エミュレーションはユーザーモードのコードのみをサポートし、ドライバーはサポートしません。カーネルモードのコンポーネントはすべて Arm64 としてコンパイルされている必要があります」。アンチチート、VPNクライアント、セキュリティソフト、特殊な周辺機器、仮想化といったカーネルモードのドライバーを伴うものは、この一文の外側にあります。
したがって——これは当サイトの助言です——必ず動かしたいソフトがドライバーを伴うなら、確認先はMicrosoftではなくそのソフトの提供元です。個別のアプリが動く・動かないという一覧は、提供元自身が述べていない限りこの記事には載せません。
5. 買う前の確認の順番
(1) 使いたい機能があるか。ない場合、バッジは追加で払う理由になりません。(2) その機能に付いている条件(Snapdragon限定か、日本語に対応しているか、サブスクリプションやアカウントが要るか)を第3節の表で引く。(3) 候補機がArmかx86かを確認する。(4) Armなら、ドライバーを伴うソフトの提供元にArm64対応を確認する。(5) Recallが目的なら、Windows Hello Enhanced Sign-in Security の条件を機種のサインイン機能と突き合わせる。当サイトには指紋認証とIRカメラを比較した記事があり、Enhanced Sign-in Security についてはそちらで扱っています。
メモリの見方も変わります。Copilot+ PCの16GBは要件であって推奨ではありません。それが自分の使い方に足りるかどうかは別の判断で、当サイトの「16GBと32GB」の比較記事が該当します。またノートPCではメモリが基板直付けのことが多く、後から増やせるかどうかは機種ごとに違います。「増やせない」と決めつけず、機種の仕様を確認してください。
Recallについては、Microsoftの一覧上の表記が「Recall(プレビュー)」です。一般提供の機能として扱わず、プレビューとして案内します。
6. この記事が扱わないこと
TOPSの数値から処理速度やバッテリー持ちを読み取ることはしません。TOPSはNPUについてベンダーが公表する値であり、アプリケーションの速度を予測する指標としてMicrosoftが提示しているものではありません。
Ryzen AI、Core Ultra、Snapdragon の性能順位も扱いません。同一条件で比較できる公表データを見つけておらず、当サイトで測定もしていないためです。
特定のアプリがArmで動く・動かないという一覧も載せません。第三者がまとめた互換性リストは一次情報ではなく、提供元自身の記載がない限り引用しません。
そして、プロセッサの一覧と機能ごとの条件は、Microsoftが「現時点では」「時間とともに変わる可能性があります」と書いている部分です。この記事の確認日は2026年9月20日です。
注意点・利用条件
- Microsoftはプロセッサ一覧を「現時点では次を含みます」と書いており、時点を限定した記述です。この記事の確認日は2026年9月20日です。
- TOPSの数値は性能の指標としては使えません。アプリケーションの速度やバッテリー持ちを予測する数字としては扱わないでください。
- アンチチートやVPNがArmで動かない、と断定はしません。Microsoftが述べているのは「エミュレーションはユーザーモードのコードのみをサポートし、ドライバーはサポートしない」という境界です。個別の可否はソフトの提供元に確認してください。
- Recallは一覧上「(プレビュー)」と表記され、Windows Hello Enhanced Sign-in Security を必要とします。一般提供の機能として扱わないでください。
- 端末内で動くと説明される機能の一部にも、Microsoftアカウントまたは Entra ID とインターネット接続が必要です。Click to Do の一部の操作にはサブスクリプションが必要と記載されています。
よくある質問
「AI PC」と書いてあれば、Copilot+ PCと同じですか。
同じではありません。MicrosoftはCopilot+ PCを、Windows 11の最小要件に加えて40+ TOPSのNPU・16GB DDR5/LPDDR5・256GB SSD/UFSを満たすものと定義しています。そのうえで「16 GB未満のRAMや、より少ないストレージ構成のデバイスはCopilot+ PCではありません」と、40+ TOPSのNPUを積んでいても条件を満たさない場合があることを明記しています。
Copilot+ PCなら、宣伝されている機能はすべて使えますか。
使えるとは限りません。Microsoftの一覧では、Automatic super resolution、Paint の Generative fill、Photos の Relight の3つが「Snapdragon X シリーズ搭載のCopilot+ PC」と限定されています。Ryzen AI や Core Ultra のCopilot+ PCでは、公表された条件上この3つは対象外です。また Click to Do には一部の操作にサブスクリプションが必要と書かれています。
Snapdragonのモデルで、いま使っているソフトは動きますか。
多くのx86/x64アプリはエミュレーションで動作します。Windows 11 on Arm は x86 と x64 の両方に対応し、24H2では Prism というエミュレーターが使われます。ただしMicrosoftは「エミュレーションはユーザーモードのコードのみをサポートし、ドライバーはサポートしません。カーネルモードのコンポーネントはすべて Arm64 としてコンパイルされている必要があります」と述べています。アンチチート、VPN、セキュリティソフト、特殊な周辺機器のように、ドライバーを伴うものは提供元にArm64対応を確認してください。
メモリは16GBで足りますか。
16GBはCopilot+ PCの要件であって、あなたの用途に十分かどうかとは別の話です。Microsoftはこの数値を下限として示しています。実際に必要な容量は使うアプリによって変わるため、当サイトの「16GBと32GB」の比較記事を参照してください。加えて、薄型ノートPCではメモリが基板に直付けで後から増設できない設計が多く、購入時の選択が最後の選択になることがあります。機種ごとに違うため、仕様表で確認してください。
出典・確認日
情報確認日:。仕様・操作方法・価格などの確認に使用した出典を掲載しています。適用条件や現在の情報は各リンク先で確認してください。